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タマモベストプレイに見た馬の成長力

  • 2013年02月07日(木) 12時00分
 この時期の3歳馬は、まだまだ子供っぽいところがある。それだけに、一戦ごとに成長の跡を見せてくれるかが、扱う者の一番気にするところだ。馬が努力するのか、人が頑張るのか、それは分からない。だが、馬がレースを覚えてくれるのは確かなようだ。どう走れば自分にとって一番戦いやすいか、それは馬の持つ本能のように思う。

 人は、走りやすいようにサポートするのが役目で、それ以上のことが可能かどうか、ここのところが最大のポイント。どの馬にも、血統という背景があって、そこからその馬の素養を探ろうとする。

 だが、戦うレースの馬では、さまざまな状況が生み出されるから、そんな簡単に結果を見通すことはできない。

 マイルのシンザン記念では追走に苦労して最後に伸びを欠いたタマモベストプレイが、1800mのきさらぎ賞で人気を下げたのはしかたがなかった。ところが、今回は4戦目、まずスタートが決まった。すぐ2番手に、そしてスローペースにピタリと折り合えた。これなら手応えも楽、瞬発力を発揮して横一戦の追い比べを制していた。

 これでクラシック戦線に突入するタマモベストプレイをどう評価するか。この段階で結論を出すのが早計なことは承知している。ここからは、人がどうこの馬に期待するかだ。重賞を制覇したことで、こういう場面に再び遭遇するかもしれないし、馬自信がさらに成長するかもしれない。また、人がどうサポートしていけるかもある。

 1頭の馬がどう大成していくか、そてを人生になぞらえると、こうなるのではないか。私たちは、何かを乗り越えようと思って生きてきたというより、あまり気張らないでここまできたのではないか。今しなくてはいけないことをコツコツ積み重ねてきただけ、そして今がある。コツコツと、黙々と、人も馬もただひたすら積み重ねていくだけだ。

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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