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ハーツクライ産駒の激走パターンを見極める(1)

  • 2013年02月13日(水) 18時00分
 最近重賞での活躍が目立ってきたハーツクライ産駒。何回かこの連載でも検証してきたたが、サンプル数も増えてきたので、改めて馬券的なポイントを考えておいきたい。

 今回は産駒の活躍が目立ち始めた昨年12月から今週までの、重賞でのレースぶりで検証していこうと思う。恣意的に選ぶことがないように、1〜2番人気に支持された馬と、3着以内に入った馬、そのすべてを見ていくことにする。

 最初の重賞は昨年12月1日の金鯱賞。アドマイヤラクティが4番人気で3着した。人気と着順があまり変わらないレースは標準的な結果であり、その種牡馬の際だった特徴を表すものでもないので簡単に見てみる。

 同馬は前走アンドロメダSを2番人気3着。人気を裏切ったのでそれほど疲労はなく、また2走前は準OP古都Sで休み明けだった。これから分かることは、疲れていないときのパフォーマンスは比較的いいこと。またOP特別で3着後に、格上のGIIに出走して3着。相手の強弱はあまり関係しない種牡馬だという可能性を示唆している。

 次に検証するのは、12月9日の阪神JF。ここでコレクターアイテムが1番人気で4着に凡走した。このレースはハーツクライ産駒が大挙4頭も出ていた。以前の連載でも書いたが、改めておさらいしてみよう。

 コレクターアイテムは前走新設重賞のアルテミスSに勝利。前々走もデイリー杯2歳Sだったので、阪神JFの時点で短期間に重賞を3戦したことになる。しかも、そのすべてがこの時期の2歳牝馬としてはタフなマイル重賞だった。加えてアルテミスSはレコード勝ち。相対的に他の2歳馬より疲れていたことは間違いない。

 また、前々走のデイリー杯2歳Sは4着。凡走後で疲れがないときと、疲れているときのパフォーマンスの違いは明白だ。同じハーツクライ産駒でも、阪神JFで10番人気3着と激走したレッドセリシアは、前走新馬勝ちしたばかりでフレッシュだった。

 このことから、やはりハーツ産駒は疲れてないときはパフォーマンスが上ること。また新馬後のGIで3着に激走するなど、相手強化はあまり影響しないタイプということも容易に想像出来る。さらに、レッドセシリアに至っては、新馬戦で5番手から競馬をしたのに、阪神JFでは4角16番手という、極端な競馬をしていたことも記憶しておきたい。

 12月15日愛知杯。10番人気2着に激走したサンシャインもハーツクライ産駒だ。

 前走は格下準OPで6着凡走。愛知杯は休み明け3戦目だった。そのため蓄積疲労もなければ、直近の疲労もない。疲れてないときに強く、また準OP惨敗後に重賞で激走できるように、相手関係は影響しない。というか、むしろ相手強化のほうが走るケースがトップクラスでは多い。

 また同馬は愛知杯では2番手から競馬をしていた。前走は9頭立てと少頭数だったので3〜4番手で競馬をしていたが、2走前の秋華賞は中団。つまり、前に行く位置取りショックである。

 前述のレッドセリシアの追い込みとはまったく逆の戦術だが、極端な競馬であることと、これまでと戦術を変える位置取りショックが施されていることは共通している。ちなみにサンシャインが初OP勝ちをしたエルフィンSは2番手の競馬。前走シンザン記念で15番手の追い込みの競馬から、極端な位置取りショックが掛けられていた。

 ここまで見てきて、激走パターン、人気を裏切るパターンはそれぞれ同じだった。もちろん、ほとんどの現象はストレスに支配されているというM的な考えでは、人気薄が激走するのも、人気馬が凡走するも心身ストレスが多いか少ないかが問題なので、当たり前過ぎる結論ではある。

 つまり、どの種牡馬にでも当てはままることなのだが、ハーツクライはその傾向が顕著すぎる種牡馬なのは確かだ。これ以外のパターンの好走は果たしてあるのか? 来週は、愛知杯以降を見ていこう。

(次週につづく)

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ストレス、ショック療法など、競走馬の心身構造を馬券にする「Mの法則」を発見し、従来の競馬常識を完全に覆した。現在は、競馬雑誌等で活躍中のほか、馬券研究会「Mの会」を主催し、毎週予想情報の提供を行なっている。主な著書に「短縮ショッカー」、「ウマゲノム版種牡馬辞典」、「ポケット版 大穴血統辞典」などがある。

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