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中山記念と前走距離

  • 2013年02月19日(火) 12時00分
 私がレースの傾向を調べるときによく参考にするのが、前走から距離短縮になる馬と距離延長になる馬のどちらが走っているか、ということだ。

 一般論で言うと、距離短縮組が強いことのほうが多い。スタミナに余裕があること自体もアドバンテージなのだろうが、上位クラスになると短距離寄りのほうが出走枠がタイトで、守備範囲を1ハロン2ハロン超えたところに投票してくる馬がいることなども影響しているのではないかと思う。

 また重賞などの傾向を見る場合、臨戦過程に登場しやすいレースの格が影響してしまっていることもある。例えば1800mのG3を予想する際に、そこへ向かってくる前走レースとして2000mのG2と1600mのオープン特別が多く登場する場合、当然距離短縮組(前走2000mのG2)が強いことになってしまう。これは馬の適性ではなく単に格の問題なので、解釈する際に調整が必要だ。

 さて、そういった調整を施してもなお、多くの中距離重賞では「距離短縮組のほうが強い」という傾向になりやすいのだが、中山記念は違う。

種別、勝率、連対率、単回収率、複回収率
同距離 4.0% 12.0% 68 44
今回延長 10.4% 20.8% 70 108
今回短縮 6.8% 11.9% 78 40

 と、圧倒的に距離延長組が勝っている。延長組は東京新聞杯+根岸S+マイルCS、短縮組は中山金杯+白富士S+旧鳴尾記念が主なところだから若干延長組のほうがもともとの陣容は厚いが、マイルCSは5頭しかおらず、(2.1.0.2)というその成績を除いてもなお距離延長組のほうが勝る。

 中山でコーナー4つの1800mというと、それだけごまかしがきくというかスタミナは要求されず器用なマイラー寄りの馬が有利という解釈はちょっと単純すぎるかもしれないが、マイラーがこの1800mをこなしやすいことは確か。今回は登録馬に距離延長組が少ないこともあり、この基準でいくと買い目の整理も進みやすい。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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