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ハーツクライ産駒の激走パターンを見極める(3)

  • 2013年02月27日(水) 18時00分
 先週に続いてハーツクライ産駒の激走パターンを重賞を通じて見ていく(ここで書いた重賞回顧と若干被るところがあるが、視点をやや変えながら、復習もかねてやっていこう)。

 2月10日の京都記念。1番人気でハーツクライ産駒のジャスタウェイが出ていた。

 中山金杯で分析した馬である。中山金杯では天皇賞好走の反動が残っていて、1番人気3着に敗れたのだった。

 一般的に、人気より着順が悪いと、あまり疲労が残らない可能性の方が高い。最もその馬の実力を表す指数が人気だからだ。ファンが熱心に実力を分析し、大事なお金を投じて形成されたのがオッズだから、新聞の印や、あるいはその馬の走破時計などよりも、遙かにその馬の実力を反映している。

 その為、基本的に人気を着順が下回った場合、実力を発揮しなかった可能性が高いので、疲労は少ない確率が上がる。

 もちろん、人気の他に様々な要素で疲労は分析しなければいけないのだが、手っ取り早く全体像を掴める方法が、人気と着順の関係であり、その為、私のデータ分析でもよく、「前走が何番人気で何着だった」という項目が出てくるのだ(この人気と着順の関係から、例えば、人気通りに決まりやすい重賞は、疲労の影響が出にくいレース質を持っている可能性が高いなど、様々なことが分かる)。

 ただし、実力をかなりの精度で表すのが人気とはいえ、人気通りに買っても、上手くはいかない。

 人気と実際の着順は、ほとんどの場合、異なるからだ。

 その理由の主なものが、もちろんストレス、疲労である。

 ジャスタウェイの前走中山金杯は、その前までの心身疲労が抜けずに、3着に敗れた。

 人気通りに走れなかった後なので、疲労が少なく、今回は買いだろうか?

 しかも、今回は斤量が1.5キロも軽くなるのだ。物理的にもずいぶんと有利である。

 だが、多頭数重賞を、相対的に重い斤量を背負って3着に頑張ったのだから、人気通りに走れなかったにしても、疲労は残る。加えて今回は、前回の中9週に対し、中4週と間隔が詰まる。疲れやすい種牡馬である以上、間隔が開いて好走した後にレース間隔を詰めるのは、マイナスでこそあれ、プラスになることはあまりない。

 そういう状況で1番人気なら、グレーゾーンの1番人気から敢えて買う理由もないだろう。

 結果は5着。

 この京都記念には、もう一頭ハーツクライ産駒が出ていた。4番人気のカポーティスターだ。

 この馬の場合は、前走「休み明け」の「格上挑戦」というノーストレス状態を頼りに、10番人気の低評価を覆して激走した後の、中3週だ。取り巻く環境、心身疲労はジャスタウェイ以上に厳しい。

 ということで、ジャスタウェイの次、6着という分かりやすい着順に終わった。
 
 最後は2月16日ダイヤモンドSの1番人気1着アドマイヤラクティ。

 人気通りの着順だったので、普通に能力通り走ったというだけであって、ここにはあまり馬券的に深い意味はない。

 M的にも、前走が2番人気3着に敗れた後なので、力を出し切った訳でもなく、疲れは少ないので問題はない。

 だが、M的にもう少し広い視野で見ると、気掛かりな点がある。

 前走こそ、2番人気3着と人気を裏切ったレースで、疲れの影響が少ないと判断できるのだが、ここ3戦が連続して重賞で3着に好走。しかも今回は中3週だ。

 蓄積の心身疲労は比較的高い状態にある。

 今回は相手弱化での1番人気だったので、疲れがあっても勝ち負け出来たとするのは簡単だが、こういう心身疲労、ストレスが微妙なときは、平穏な結果であれ、注意しておく必要がある。

 そもそも、先週まで見てきたところでは、相手弱化そのものは、相手強化より、それほどプラスにはならないのが、ハーツクライ産だったのだ。

 となると、この1番人気1着という一見平凡な結末には、何か血統的に重要な意味が隠されている可能性が高いと考えられる。

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※正誤表が競馬王ブログに掲載されています。

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ストレス、ショック療法など、競走馬の心身構造を馬券にする「Mの法則」を発見し、従来の競馬常識を完全に覆した。現在は、競馬雑誌等で活躍中のほか、馬券研究会「Mの会」を主催し、毎週予想情報の提供を行なっている。主な著書に「短縮ショッカー」、「ウマゲノム版種牡馬辞典」、「ポケット版 大穴血統辞典」などがある。

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