今週末からいよいよクラシックトライアルがスタートするが、あえてマニアックな話題をピックアップするのが当コラムの売り? 今回は17日の京都新馬戦(芝内1600メートル)で4着に敗れたスカイキューティー(牝・松田博)にスポットを当ててみたい。
レースを見ていない方は映像をぜひ見てほしい。勝ったタニオブローズ(牝・鮫島)の末脚も破壊力満点に映ったが、それ以上に驚かされたのがこのスカイキューティーの走り。直線入り口ではまだ最後方近くで勝ち負けは無理な態勢。一度画面から完全に消えたのだが、ゴール前の映像に切り替わった瞬間には1馬身半くらいのところに顔をのぞかせた。カメラワークもあろうが、そのさまはまさに“ワープ”。単複で勝負した記者にとっては痛恨のレースだったのだが…。
記者以上に痛恨だったのは鞍上の高田だろう。かつての松田博厩舎の所属騎手。3場開催に加え、昨今の騎手不足がきっかけで声がかかり、久しぶりに松田博厩舎の馬にまたがった。その実績から2度目のチャンスを簡単にもらえる立場ではないだけに、一戦必勝の腹づもりだったことだろう。が、不運がこのコンビを襲う。
「パドックから隣の水口の馬(グンシン)がうるさくて、嫌な予感がしていたんだけど、ゲートの中で待っている時にバンバン蹴ってきてさ。馬がびっくりした時にゲートが開いてしまった」と高田。不運はこれだけではない。「4角ではその馬に外からかぶされ、揚げ句に直線は前に入ってきた。それをやり過ごしてから追い出した」のでは届くはずもなかった。
「出遅れた時点で新馬戦からきつい思いをさせないようにと切り替えて乗った。結果論だけど、そういう意味では負担をかけないで乗れたと思う」と振り返ったが、もちろん自身の騎乗に満足したわけではない。「おっつけて行っても折り合いをつける自信はあった。思い切ってスタートから位置を取りに行っていれば…」と後悔を口にした。
これに対して松田博調教師は「何のために3週続けて追い切りに乗ったんだ。かからないのはそこでわかっていたこと」と突き放したが…。それでも今回のスカイキューティーの走りの陰には高田が3週間調教に乗ったことが生きている。
「最初にまたがった時は右トモが全然使えてなくて。左に回ることができても、右に回ることができなかった」と高田。それを担当でキャリアの浅い“後輩”の竹山助手に伝え、自らも調教で徐々に欠点を補っていった。この効果が如実に表れ、直前の追い切りでは極悪の馬場も気にせずに楽々と先着。「右トモが使えるようになって動きが変わった。さすが松田博厩舎の馬だと思った」
かつてブエナビスタをはじめとする一流馬に「多くのことを教えてもらった」(高田)。厩舎を離れ、様々な経験を重ねた現在、結果は4着も、確実に一頭の素質を開花させ“恩返し”したと記者は思う。
しかし、現在の騎手を取り巻く環境は厳しい。それは高田自身がよくわかっており、「次は乗せてもらえないと思う」とポツリ。それを承知であえて「次乗ったら勝てる?」と聞いた。
「どこに出ても勝てるさ」
果たして高田にリベンジの時は訪れるのか。
※本日は『トレセン発秘話』も更新されております。下部のバックナンバーからご覧ください。
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