土曜日の牝馬のチューリップ賞と同様に、男馬のクラシックロードではもっとも重要な位置にあるステップレース。皐月賞と同じ中山の2000m。だから重要であると同時に、東西のエース級が対戦するから、勢力図がかなりはっきりしてくる。さらには、世代のエース級と対戦してステップアップし、目覚めることにより、11年のウインバリアシオン、12年のフェノーメノのように、ダービーのころにトップに追いつく成長株もいる。単に皐月賞トライアルというだけでなく、本当の大目標に向けて挑戦のトライアルでもある。
1964年(シンザンが三冠達成した年)に創設されてちょうど半世紀。ここまで49回の弥生賞の出走馬から、皐月賞馬が23頭(連対馬は計35頭)、日本ダービー馬が20頭(連対馬は同じく35頭)も誕生している。皐月賞の有力馬を探すというだけでなく、ダービーの伏兵になりそうな馬もチェックしておかないといけない。
ラジオNNIKKEI杯2歳Sのセンスあふるレース内容から、人気のエピファネイアに対する期待も、敢えてGIの朝日杯FSを勝ちに行って負けたコディーノの、当然の巻き返しに対する期待も大きい。だが、ここでそういう人気ばかりに傾斜しては、本番で買いたい馬券がなくなってしまいかねない。
ここは、エピファネイアも、コディーノも当然の候補と認めたうえで、伏兵に目を向けたい。ヘミングウェイに注目。
1800mの新馬戦2着のあと、前回のシンザン記念までずっと距離1600mに連続して出走。ここまで[1−5−0−0]という特異な成績になっているが、マイル戦にこだわっているのではなく、変なスローに陥ることの多い2000m級を敢えて避け、パワーアップを計りつつ成長を待った印象がある。そういう手法はある。
体型こそ心持ち寸詰まりの気がしないでもないが、二冠馬ネオユニヴァース産駒で、母の父はマキャベリアン。ヴィクトワールピサと同じ配合形であり、牝系にスピード色が濃いわけでもない。
シンザン記念で見通しが立つ2着したところで、当然のように弥生賞へ。確かに最初から1800〜2000m級に出走していた有力馬と比較すると、距離適性で見劣るような印象を与える成績だが、実はそんなことはなく、ヘミングウェイは2000mになって一変の可能性がある。新馬の1800でもスムーズに折り合っていたから、かかる心配はない。
福永騎手の騎乗停止で、ビュイック騎手に乗り変わりのエピファネイアだが、さすがにこの後を考えないようなレースをするとは思えず、また、コディーノも朝日杯で行きたがった後だから、控えて進む公算大。ヘミングウェイは案外ラクに好位追走も可能だろう。人気の2頭本線だが、武豊騎手のキズナ(ファレノプシスの下)、カミノタサハラ、ダービーフィズ、サトノネプチューンまで、みんな大きく変わる可能性にあふれている。実力拮抗、激戦のクラシックに突入する勢力図が描かれることを、期待したい。