いまさら言うまでもなく、中山牝馬Sは荒れる重賞である。
中山コースに原因があるのかと思いきや、震災の影響で阪神に舞台を移した2011年はもっと荒れてしまった(2ケタ人気馬3頭で決まって200万馬券)。
荒れやすい重賞といっても、普通のレースならばなにかしら糸口が見つかり、それがファンの間に普及していつの間にか均衡が成立するものである。東京のハンデGIIにおける前走条件戦組重視などはその好例だろう。ところが、中山牝馬Sの場合には、これといって切り口が見つからない。
ハンデ戦ということで前走条件戦組が来るのかというと、そうでもない。前走条件戦組は過去10年(1-3-2-29)。複回収率はプラスだが、荒れまくった結果、このレースではどんな切り口でも複回収率はプラスになる。また、オープン特別組(1-0-3-12)で連対を前提にするとさらに分が悪い。
好走馬の多くは前走重賞組、特に馬券にかんだ馬の半数強がGIII組なのだが、その前走着順別成績をとっても決定的な買い要素は見つからない。前走GIIIの2ケタ着順からも過去10年で4頭が連対を果たしている。
年齢別成績も牝馬重賞にしては4〜6歳がほとんど同じ成績だし、位置取り別成績では逃げと差し追い込みが良く先行がダメという変な形になっているし……このコラムにとっては最も向かないレースのひとつだろう。
そんな中、ふだんあまり使わない条件の中に多少の光明はある。ひとつは叩2、3戦目にあたる馬の成績の良さ。もうひとつは、馬体重変動だ。
種別 勝率 連対率 単回収率 複回収率
今回減 3.1% 8.3% 42 112
同体重 15.4% 23.1% 66 123
今回増 9.6% 17.3% 144 105
同体重という馬は数として多くないので、馬体増の方が馬体減より良い、ということでよいだろう。牝馬の場合、もともと調子の波があるのに加えて、フレッシュさを失いはじめるとハマることが少なくない。ちなみに、2走連続で馬体重減となった馬は中山牝馬Sで(1-0-2-24)、回収率が単複とも57%。3走連続で減る形だった馬は過去10年で6頭しかいないが、その中に1番人気馬が2頭(03年オースミコスモと11年ワイルドラズベリー)いて、ともに馬券圏外となっている。