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ハーツクライ産駒の激走パターンを見極める(4)

  • 2013年03月06日(水) 18時00分
 先週まで、ハーツクライ産駒の激走パターンを徹底的に重賞を使ってみてきた。その中で、1つだけパターンと少しずれたレースが見つかったのだった。ダイヤモンドSで1番人気1着したアドマイヤラクティである。

 人気通りに走って平凡な結果ではあるが、今までと少しパターンが違うときにこそ、よく分析しないと、重大な問題を見逃してしまうことがある。

 アドマイヤラクティの場合は、前走2番人気3着と人気を裏切り、普通のM的考えでは、それほど疲れのない状態だった。

 ただ、それまで2戦をGIIというトップクラスで3着に好走し、今回は中3週。今回は蓄積疲労の問題が出てくる。

 再三書いてきたように、ハーツクライ産駒は疲労耐久指数が比較的低く、あまり疲労に強い種牡馬ではないのだった。

 また長距離レースは、単純に肉体には疲労が出やすい。つまり今回は、余計に疲労の影響が出やすいシチュエーションなのだ。

 もう1つは、前走がGIIで今回がGIIIの点。相手が弱化している。これも、ハーツクライ産駒の激走パターンである相手強化とは違っている。

 相手が弱くなって、疲れているとき。これがハーツクライ産駒にとって、一番人気を裏切る確率が上がるシチュエーションなのだった。ところが普通に1着したのである。

 そこで、ここ3戦の3着と違う点は何か?と考えると、3400mという長距離だった点が際立った相違点になる。

 3000m超の長距離だと好走パターンが変わるのか?長距離が得意と考えれば、これは実際、誰もが行き着く結論だ。ただ、その奥になにかがあるはずだ。

 もう少し細かく、考えてみよう。3000mを超えたレースでのハーツクライ産駒は、9頭中4頭連対3着1回と高い好走率で、長距離が得意という説を後押ししている。5番人気以内に支持されたハーツクライ産駒の成績は以下になる。

 ウインバリアシオン・菊花賞2番人気2着
 ギュスターヴクライ・ダイヤモンドS1番人気2着
 ギュスターヴクライ・阪神大賞典3番人気1着
 ギュスターヴクライ・天皇賞春4番人気5着
 ウインバリアシオン・天皇賞春2番人気3着
 サクセスパシュート・ダイヤモンドS5番人気5着
 アドマイヤラクティ・ダイヤモンドS1番人気1着

 これを見て、長距離重賞で適性が高いと考えるとおかしな方向に行く。出走全馬でも、5割以上の3着以内率なのだから、データ的には高い適性と言えるかもしれない。

 だが、よく人気を見れば普通である。人気通りに走っているに過ぎない。苦手でないことは分かるが、特筆するほど得意でもないわけだ。

 人気には、長距離の適性があると考えられて人気になっているぶんも少しはあるかもしれないので、それを考慮すると、「ちょっと得意」というのが、正確な表現だろう。しかし、この「ごく普通である」というのが、ここでは重要になってくる。

 ハーツクライ産駒の激走パターンで見たように、疲れやすく、鮮度が高いときに走るというタイプは、人気通りに走らないケースが多い。

 結果がごく普通になるには、それなりの理由がないと、むしろおかしなことなのだ。これは長距離戦特有の感じ方の問題になる。

つづく

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ストレス、ショック療法など、競走馬の心身構造を馬券にする「Mの法則」を発見し、従来の競馬常識を完全に覆した。現在は、競馬雑誌等で活躍中のほか、馬券研究会「Mの会」を主催し、毎週予想情報の提供を行なっている。主な著書に「短縮ショッカー」、「ウマゲノム版種牡馬辞典」、「ポケット版 大穴血統辞典」などがある。

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