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フィリーズレビュー

  • 2013年03月09日(土) 18時00分
 中山牝馬Sも注目カードだが、必見、重要という意味では、桜花賞トライアルのフィリーズレビュー。今年の場合はいつもの年以上にカギを握るレースになる可能性がある。というのは、チューリップ賞は伏兵評価のクロフネサプライズの楽勝。あまり有力候補とは考えられていなかったが、15番人気の阪神JFで決してフロックとは言えない厳しいペースを克服。1分34秒2で小差2着に粘ったあと、今回は1000m通過60秒2。阪神JFより自身は2秒3も緩いペースで通過し、再び1分34秒9。桜花賞の前に、本番と同じ阪神1600mを2回も1分34秒台で乗り切ったから、俄然、有力候補である。まったくペースの異なるレースでのことだから、粘っただけではない。

 人気のレッドオーヴァルはまた10キロも減った馬体で7着。ローブティサージュは差を詰めるどころか差を広げられて9着。候補の多い年なら、チューリップ賞完敗は絶望のステップである。内容も悪すぎる。ただ、クロフネサプライズ以外の候補は、ディープインパクトの下・トーセンソレイユは、2月2日のエルフィンSから。コレクターアイテムも2月9日のクイーンCからぶっつけに近い出走になるから、予定通り「順調」ともいいきれない。ウキヨノカゼは体調整わず桜花賞回避が伝えられる。

 好素質馬多しとされた今年の牝馬クラシック路線、勢力図は大きく変化している。よって、過去10年間、フィリーズレビューから本番で馬券に関係した馬は4頭にとどまるが、今年はこの組から候補が誕生して少しも不思議ないのである。本番の1600mをこなせるかどうかは、このレースの内容によるが、今回の1400mならかなり強気になれるのは、サウンドリアーナ。前回の阪神JFは連戦続きで、かつ少し太め残り。距離だけが敗因とも思えないが、ベストに近いのは1400mだろうことはハッキリしている。ファンタジーSは文句なしの1分20秒8。レースの最後の2ハロン「11秒5-11秒6」。少しも鈍っていない。サウンドリアーナよりファンタジーSを速い時計「1分20秒3」で乗り切ったのは、07年の報知杯フィリーズレビューを圧勝したアストンマーチャンだけ。

 ミスタープロスペクターの孫である父ケイムホームは、快速を生かし距離8ハロン以下はすべて圧勝で5戦5勝の記録がある。代を経てはいるが、5代母は1964年の桜花賞3着、オークス2着のメジロボサツ。当時はまだこのトライアルはなかったが、クラシックファミリー出身である。できるなら、桜花賞の1600mもこなせるのではないか、そんな展望ができるレースを期待したい。佐藤正雄調教師は、騎手時代、桜花賞直前にニシノフラワーを降ろされている。管理馬で桜花賞を勝ちたい。須貝尚介調教師の、ゴールドシップの皐月賞制覇とダブルようなシーンが再現されたりするのが、クラシックというレースでもある。強敵は、祖母に97年のこのトライアルを7馬身差で独走し、桜花賞も制したキョウエイマーチを持つサンブルエミューズ。父は皐月賞のダイワメジャー。直前輸送が多少気になるものの、この時期に急速にパワーアップして納得の血統背景を秘めている。

 出来の良さはメイショウマンボ。祖母メイショウアヤメが98年のこのレースを2着しているだけでなく、6代母は遠く1964年の牡馬3冠を「2、2、1」着したダイコーターの全妹というクラシック「古典的」ファミリーの出身である。以下、1400mならそう差はないと思えるタンスチョキン、好位差しもできるナンシーシャイン、シーブリーズライフ、芝でも怖いティズトレメンダスも連対候補に加えておきたい。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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