スマートフォン版へ

「勝って人気」という馬の不振

  • 2013年03月12日(火) 12時00分
 昔は皐月賞トライアルというと、弥生賞が堅くてスプリングSは波乱余地があるというイメージが強かった。しかしこの10年でいうと、スプリングSは1番人気馬が[3-3-2-2]、全馬均等買い時の回収率が単42%・複66%となっている。すっかり堅いレースという印象だ。

 しかし、今年小波乱くらいは起きてもおかしくないのではと個人的には見ている。そこの鍵は、1番人気馬にある。

 先述した通り、スプリングSの1番人気馬は過去10年で6頭が連対した。しかし、1番人気馬を前走着順別に見てみると、こうなるのである。

前走着順、着度数
前走1着 1-0-2-2/5頭
前走2着 0-3-0-0/3頭
前走3着 2-0-0-0/2頭

 前走で2、3着に惜敗してなおスプリングS1番人気という馬は5頭とも連対を確保したのだが、前走を勝ってスプリングSで1番人気という馬は5頭いてアンライバルドが勝っているのみだ。ローズキングダムとショウナンアルバが3着、コスモサンビーム5着、ペールギュント6着となっている。
複勝率でいえば60%ということになるが、ローズキングダムあたり単勝1.4倍だった馬。そうでなくても、1番人気馬が3着でよいという話にはならないだろう。

 ちなみに2番人気馬はというと、

前走1着 1-0-1-4/6頭
前走2着 1-0-1-0/2頭
前走3着 1-0-0-0/1頭
前走4着 該当馬なし
前走5着 0-0-0-1/1頭

 で、こちらも前走惜敗組のほうが安定している。ちなみに過去10年の1〜2番人気馬は全馬前走オープンに出走しているので、オープン惜敗馬と条件戦優勝馬の間で前者が勝るといった理由によるものではない。

 今年の人気は当日になってみないと定まらないが、ロゴタイプ、タマモベストプレイ、フェイムゲームのいずれかが1〜2番人気に収まるだろう(netkeibaの予想オッズもいまのところそのように推移している)。3頭もいるのでどれかが来てしまうという可能性はあるが、これまでの傾向を踏襲するようだと、1着が別な馬であったり、3頭のうち1頭くらいしか馬券に絡まないといったことは十分にありうる話だ。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング