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ファルコンS万馬券1点目的中のプロセス

  • 2013年03月20日(水) 18時00分
 今週のファルコンSでは、予想上位3頭がそのまま3着以内を独占したので、3連複290倍を1点目で当てることが出来た。その上位3頭は、ともに前走が500万の馬。そこで久しぶりに格上げ戦、ないし格上挑戦の狙い方を復習しようと思う。

 このレースの出馬表を見たとき、Mのファンなら、荒れる確率が高いことがすぐに分かるだろう。1番人気ティーハーフは前走1400mのOP特別クロッカスS3着、3番人気プレイズエターナルもクロッカスSで4着、6番人気ディアセルヴィスもクロッカスSで2着。3頭も、今回と似たような、「左回りで坂のある1400mオープン」で好走しているのだ。

 普通に考えればこれはプラス材料だが、Mでは少し違ってくる。もちろん適性を認識できたこと、好調を確認出来たことはプラスだが、再三書くように、似たレースを好走した後にはストレスが溜まる。しかも条件戦ではなく今回と同じオープンだったのだから、ストレスの溜まり方はきつい。また同一レースで好走した馬が多数出走していると、ストレスが増すという現象もある。これはMの基本「同路線ストレス」だ。今回はクロッカスSを5着以内に好走した馬が大挙4頭も出走しているのだから、そのストレスレベルはかなりきつい。このようなストレス時に、今回のような「同じ条件とクラスなのに、少頭数から多頭数になり、OP特別から重賞になる」という、「前走より体感が厳しく感じる流れ」になると、馬は嫌気が差すリスクが倍増するのだった。また4番人気モグモグパクパクもちょっと嫌だ。前走が1200mのOP特別で1着。ストレスがきつい。

 だが、ここからがむしろ問題になる。前走オープン、重賞出走馬が危ないことが分かったとして、このレースは18頭立てだ。11頭も前走が500万、新馬、未勝利の馬がいるのだ。多頭数混戦で、鮮度の高い馬が来るレースと読めたとしても、この11頭の中から、一体何をピックアップすればよいのか?その作業こそが、これまで話してきたことを総動員して解決すべき、Mの技術的な部分になる。まず2番人気インパルスヒーロー。前走500万勝ちの格上げ戦の馬だ。デビュー3戦しかしていないので、生涯鮮度が高い。またペースの緩んだ前走が先行で、2走前が差し。今回はペースが遅かった前走よりは上がるだろうから、自然前走より後ろ寄りの位置取りになる。これで「差しに回る位置取りショック」を完成させることが出来る。

 ただ、経験が無いのは即ち鮮度が高いということだからM的にはプラスだが、今回は多頭数短距離重賞なので、ある程度の厳しさの経験がないと、辛く感じやすい。同馬の場合、この経験問題は、新馬、未勝利の多頭数で、新潟、東京にしては締まったペースを経験しているので、それで充分補えると判断できる。

 次は12番人気カシノピカチュウ。この馬は前走500万を4着凡走後の格上挑戦。500万で連対も出来なかったわけだから、ストレス、疲労の心配は皆無だ。さすがにこういう場合は、実力が全く足りないというケースもある。そうなると、鮮度がいくら高くて、ステップ的に優秀でも、なかなか太刀打ちできない。同馬の場合、500万で僅差2着の実績があるのだから、500万勝ちからの馬と比べれば、少なくとも致命的に大きな実力的開きはないと考えられる。またオープンを経験していない経験不足の問題は、ダート短距離の厳しい流れを再三経験しているので、大丈夫だ。ダート短距離の速い流れを経験してきた馬にとっては、多頭数重賞とは言え、広い中京の芝1400mなどという単調な競馬が、ハードに感じるというリスクはほとんどない。

 最後は5番人気エールブリーズ。同馬は前走格下500万で、なんと6着に惨敗。一切、疲労、ストレスを心配する必要が無い。また2走前に似たような条件の500万1400mを2着しているので、好ステップだけでは埋め合わせられないほどの実力が無いという心配も、ほとんど無い。さらに3走前には、1600mの多頭数重賞シンザン記念で、かなり速い流れを好位から競馬をしている。 これによって、厳しい流れの経験不足という心配も一掃した。3走前の重賞経験というのは、疲労やストレスは残らないけど、記憶だけは体内にかなり強く残像としてあるという、ほぼ理想に近い「経験の距離感」になる。

 以上から、この3頭はステップ的にはほぼイーブンだ。イーブンな3頭のどれが先着するかだが、このレースは、多頭数の厳しい流れで外差し競馬になると睨んでいた。したがってイーブンな3頭の中で、より後ろで競馬をした馬から、順番に入線するのはほぼ間違いないだろう。そこで、前走先行したインパルスヒーローや、2,3走前好位から競馬をして好走し、前走後ろからで凡走したカシノピカチュウより、いつも差しているエールブリーズの方が今回も後ろから競馬する可能性が高いと読んで、エールブリーズを上位に取った。ところが皮肉なことに、エールブリーズは好スタートを決めてしまう。想定通りの差し馬上位独占の競馬になって、唯一好位から競馬をした馬の中では5着以内に粘ったものの、後ろから競馬をした同じ鮮度馬2頭には当然差されて3着。3連複1点目の的中になってしまった。もちろん、エールブリーズの方が後ろから競馬をしたら、差し馬独占の中、前で唯一粘った結果からみても勝っていた確率が高く、1416倍の3連単1点目を逃したのは少し残念ではあるが、290倍が1点目的中なら、3連複でもよしとしよう。
 
 ところで、同じ500万の馬なら、例えばラインミーティアや、ダイナミックガイは何故駄目なのか?という議論が出てくると思う。2頭とも、厳しい流れも経験しているし、鮮度も高い。しかし惨敗した。これについて、今度は考えてみよう。

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ストレス、ショック療法など、競走馬の心身構造を馬券にする「Mの法則」を発見し、従来の競馬常識を完全に覆した。現在は、競馬雑誌等で活躍中のほか、馬券研究会「Mの会」を主催し、毎週予想情報の提供を行なっている。主な著書に「短縮ショッカー」、「ウマゲノム版種牡馬辞典」、「ポケット版 大穴血統辞典」などがある。

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