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毎日杯

  • 2013年03月22日(金) 18時00分
 阪神の「毎日杯」は、ぜひとも皐月賞に出走したい馬にとって、さらには日本ダービーに駒を進めたい馬にとっても最終ステップに相当する一戦。遠い昔は別に、西高東低になってからはときどき大物が出現するレースになった。

 春の3月に行われるようになったのは1971年からのこと。もう40年以上もたったが、ちょっと不思議なパターンが伝えられている。このレースの勝ち馬として、春のクラシック(皐月賞、日本ダービー)を制したのは、1977年ハードバージ(皐月賞)、1999年テイエムオペラオー(皐月賞)、2004年キングカメハメハ(日本ダービー)、2008年ディープスカイ(日本ダービー)の4頭。で、この4頭、あのキングカメハメハも、テイエムオペラオーも、なぜかみんな毎日杯は1番人気ではなかったという共通点をもっている。必死の馬もいたが、わりに気楽な挑戦者の立場だったケースも多かった。一方、毎日杯を「さすがにここでは負けられない」。そんな1番人気で勝った馬は、1971年以降「19頭」もいるのに、1頭も春のクラシックを勝てないでいる。

 また、1980年の日本ダービー馬オペックホースは5着、1988年の皐月賞馬ヤエノムテキはここを4着。ここで思い切り凡走した馬が、やがてクラシックを勝ったことはあるが、毎日杯を必死で2着して賞金加算に成功した馬、あるいはここをローテーション上の理由で重要なステップに選びながら2〜3着に負けてしまった馬からは、1頭も春のクラシック勝ち馬は出ていないという歴史もある。

 これはクラシック最終便の毎日杯だからこその特徴であり、実は、きわめて難しい時期に位置していることを示している。勝っても2着でも皐月賞出走が可能だろう人気のキズナ(父ディープインパクト)は、おそらくここは1番人気。とすると、あまり明確な理由のないジンクスなど関係ないと笑ってもいいが、ここを必死のレース内容で切り抜けているようではまずい。なぜなら、本番ではもっと調子を上げなければいけないのだから、クラシック馬への道は遠い。そのとき前述のパターンは単なるジンクスではなくなり、勝てない理由の「苦しいローテーション」に陥ったことになるのである。

 でも、これは毎日杯のあとのことであり、このレースに限れば検討要素ではない。弥生賞の上位グループは今年、先週のロゴタイプとともにみんな有力候補。キズナはちょっと進路選択に失敗し、勝ったカミノタサハラから「クビ、ハナ、クビ、ハナ」の0秒1差5着。ゴール寸前の脚いろはこの馬が一番良かった。素直に秘める力量を信頼したい。問題は、ここを楽に、余力を残すくらいで乗り切れるかどうかである。

 強敵は、新馬勝ちだけのキャリアでも、スケールは互角以上とも思える状態一変のコメットシーカー(同じディープインパクト産駒)と、初芝だから人気はないが、むしろ芝のほうがいいとも思えるストライドのガイヤースヴェルト。父ダイワメジャーが急速に良化したのは皐月賞の直前だった。以下、素晴らしい動きをみせたサトノキングリー、ラブリーデイ。押さえがアドマイヤツヨシと、タフな関東馬ピュアソルジャーとしたい。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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