新中京コースのレースはどの距離も難しい。高額条件の芝1200mは、昨年の高松宮記念が発表良馬場で1分10秒3(34秒5ー35秒8)も要するタフな芝でスタートし、次の開催ではマジンプロスパーがレコードの1分08秒7。レースの中身は(33秒7ー35秒0)だった。そのあとはトップクラスのオープン馬の対決はないので、今回の勝ち時計は予測するしかないが、地盤がさらに固まってきたので、1分08秒0前後だろうか。07秒台の前半が記録されるような高速馬場にはならないと思える。
最後の直線が約412mになり、さらに上り坂ができたから、前半が猛ペースではなくとも、差し=追い込みの決着は再三生じるだろう。スプリンターズSがそうであるように、レベルが高いレースになるほど総合スピード能力が問われ、1400m重賞くらいは平気で乗り切れる底力が問われることにもなりそうである。
ロードカナロアは、中山のスプリンターズSをコースレコードの1分06秒7で差し切り勝ちし、つづく香港スプリントは、日本よりタフな芝を1分08秒5で抜け出している。さらには1400mの阪神コースの重賞を58キロを背負って完勝してみせた。この自信は大きい。紛れの生じにくいちょっとタフな中京1200mは望むところである。
一段とパワフルな馬体になり、ストライドの迫力も増したように思える。打倒ロードカナロアは、他馬にとって至難。また、ロードカナロア自身にも、自ら崩れる危険はきわめて少ないと考えた。
相手の筆頭は、こちらも3連勝時よりまた一段とパワフルになった印象を与えるサクラゴスペルとしたい。最初のうちは1200m向きとは思えなかったが、3代母リリアンラッセルが現代の根幹種牡馬の1頭ミスタープロスペクターの半妹という背景があるのかもしれない。キャリアを積むごとにスピード色を前面に出してきた。1400mも好内容で勝っている。先行抜け出しの形もできた。これが1分07秒台を求められるような高速のスプリント戦なら死角大だが、08秒前後なら大丈夫。幸いもまれる心配のない枠順、まず簡単にはバテないだろう。
田中勝春騎手の騎乗した父サクラプレジデント(その父サンデーサイレンス)は、2003年の皐月賞でM.デムーロ騎手のネオユニヴァースに惜敗した馬。名牝系とあって最初は毎年100頭以上の交配数を記録する人気種牡馬だったが、いつのまにか評価激変、昨年はたった11頭しか相手がいなかったという記録がある。ここでサクラゴスペルが激走するなら、父サクラプレジデントの再評価が生じるだろう。
3番手はマジンプロスパー。快速系という背景ではなく、この馬も07秒台必至ではあまり強気になれないが、このコースのレコード1分08秒7を持つくらいだから、少しタフな中京は合っている。昨年はキャリア不足を露呈して5着止まりだが、今年は確実にあのとき以上のレースが可能と思える。
以下、まったく差がない4番手にドリームバレンチノ。押さえがサンカルロ、エピセアローム、ダッシャーゴーゴー。突っ込むツルマルレオンには印がまわらなかったが、3連単の3着候補には入れておきたい。