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ファルコンSで見る鮮度馬の選択

  • 2013年03月27日(水) 18時00分
 ファルコンSがストレスのある人気馬には危ないレースということは分かったが、では鮮度のある馬の中で、何故ダイナミックガイとかラインミーティアでは駄目なのか?ダイナミックガイは3着以内に入った3頭と同様、前走が500万だった。つまり鮮度が高い。しかも前走は1600mで、今回は1400m。差し馬なので、「差し馬の距離短縮」という、Mの順ショックが掛かる。加えて、4走前には1200mの厳しい流れをオープンで経験している。先週書いた厳しい経験との距離感も、ちょうど良い。

 新馬で今回と同じ中京1400mを勝っているので、適性も問題ないだろう。まさに良いことずくめだ。

 ただ1つだけ、気になることがあった。それは前走京都1600mの少頭数スローという単調な競馬で2着と好走した点だ。それだけならまだ良いが、それまでの2戦の1400mを凡走していたのに、延長少頭数の前走で急変したのが、引っ掛かる。つまり、延長でより淡泊なレースに向かうステップの方が、現状気持ち良く走れる、心身構造にあるのではないか?ということだ。思えば、休養前の1400m、1200mでの連対は、逃げと、7頭立ての6番枠から先行してのもの。そして前走は差したものの、9頭立てのスローを後方から追走してのものだった。逃げ、先行と追い込みという、2つの形で好走しているのがプラスというのは、間違っている場合が多いというのは以前説明した通りだ。 ともに馬群に入らず、単調な競馬をしたに過ぎない。本質的な部分は同じなのだ。

 今回は18頭立ての7番枠。最後方か、あるいは1,2番手で競馬をしない限り、必ず前走より揉まれるシーンが出てくる。その場合、今回の短縮はプラスにはならない。 また、条件戦から重賞と流れが激化する。流れが激化する場合は、それに応じたショックないしタイプが重要なのであり、その要件を満たしていない。したがって、プラス材料を考慮しても相手の1頭というのが妥当だろう。

 ではラインミーティアはどうか?この馬はダートの短距離という、先週話した厳しい経験としては充分なキャリアを持っている。この馬の場合、引っ掛かるのは、単純に先行馬である点だ。戦前の予想から、このレースは差し馬優位の激流になるはずだからだ。同馬が差しに回る位置取りショックをした場合、成功する確率はあまり高くはない。これまで差して連対した唯一のレースは、ダートからのショックで、大外枠から2着したデビュー3戦目だけ。つまりダートからという厳しい条件からのショックが有効な状態で、かつ外枠で揉まれなかったから成功したに過ぎない。

 今回は500万の芝1400mという単調なレースを先行した後の重賞で内枠。スムーズに差しに回れるとは到底思えない。またラインミーティアの父はメイショウボーラー。単調に自分の力を出して走るタイプだ。こういうステップで、出遅れて最後方から競馬をするならまだ良いが、急に馬群の中での差しを選択して好走するタイプでもない。

 このように、今回の流れと、ステップとタイプ、脚質のバランスによって、同じ格上げ戦の鮮度馬でも、期待値は大きく変わるのである。

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ストレス、ショック療法など、競走馬の心身構造を馬券にする「Mの法則」を発見し、従来の競馬常識を完全に覆した。現在は、競馬雑誌等で活躍中のほか、馬券研究会「Mの会」を主催し、毎週予想情報の提供を行なっている。主な著書に「短縮ショッカー」、「ウマゲノム版種牡馬辞典」、「ポケット版 大穴血統辞典」などがある。

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