今週から移動柵(内ラチが3m外に移動)が設置されたBコース。最内のちょっと芝の傷んだ部分をカバーするが、それほど大きな影響はなく、例年のパターンは良馬場で1分08秒5前後の決着が多い。
1600万条件だから、1分07秒台の持ち時計のある馬が半数もいるが、そういう高速決着ではなく、このクラスならどの馬でも記録できそうなタイムになるところがポイント。定量戦ではあるが、この馬は足りないという時計不足の馬がなくなるのだから、波乱含み。3連単が発売された過去8年、10万円以上(6ケタ)の波乱が3回もある。
伏兵の5歳牝馬サニーヘイロー(父キングへイロー)から好配当狙いに出たい。母サニークラシック(その父トニービン)の6歳上の半兄は、1997年の皐月賞を11番人気、日本ダービーを6番人気で制した春の2冠馬サニーブライアン(父ブライアンズタイム)。サニーヘイローから数えて5代母が1951年の桜花賞馬ツキカワ(父月友)というファミリーは、決して繁栄している牝系とはいえず、2冠馬サニーブライアンでちょっと蘇ったようにみせたが、また息を潜めてしまった古典的なファミリーである。
だが、もともと意外性のある牝系であり、サニーヘイローの場合は、トニービン、そして現代の主流血脈の集積にも近い高松宮記念のキングヘイロー(父ダンシングブレーヴ、母グッバイヘイロー)のスピード能力を受け、芝1200m、1400m、1600mで勝っている。もともと底力は秘めている。ただし、典型的なスピード系でもないから、血統背景のイメージからしても、心もちタイムがかかって欲しいタイプである。前が引っ張ってくれれば、1600mに1分33秒0、1400mに1分20秒8があるから、1200mの1分08秒7の持ち時計は楽に短縮できそうである。戸崎圭太騎手はJRAに移籍してからの4週間で「15勝」もしている。さまざまなタイプを乗りこなしているが、力で動かすという騎手ではなく、公営から転じた騎手の中ではもっともシャープな、芝向きの牝馬に合うだろう印象が一段と強くなった。牝馬で、短距離の追い込み馬のサニーヘイローにぴったりだろう。4歳ジョーオリオン(父ダイワメジャー)も、1400mの持ちタイムはサニーヘイローと奇しくも同じ1分20秒8。また、1200mの最高時計も1分08秒3にとどまるから、この時期の中山の芝は理想的だろう。調教の動きは急速に良くなっている。
再三の脚部不安から立ち直ったミッドナイトクロス(父シンボリクリスエス)は、いかにも内田博幸騎手向きの追わせるタフな短距離タイプ。これも1200mの持ち時計は1分08秒1なので、高速の芝ではないほうがいい。最後はパワーで伸びる。
以下、今度は前回とは違って、強引にでもハナを譲らずに一気に行くはずのヤマニングルノイユ、内枠でBコースに移った利が生きそうなダノンフェアリー、ハノハノ、リュンヌが連の押さえ。