5歳になったオルフェーヴルが始動する。今年は、昨年ほぼ掌中にしながら、寸前に歴史的な勝利を逃してしまった凱旋門賞に再挑戦しなくてはいけない。ジェンティルドンナや、ゴールドシップとも、チャンピオンの座をかけて対決しなければならない。でも、クリアしなければならない課題は、意外にいっぱいあるのである。
まず、父に7歳までタフに挑戦し続けたステイゴールドを持ち、母の父は6歳までチャンピオンだったメジロマックイーン。オルフェーヴルが完成されるのは5歳の今年であってまったく不思議はないのだが、3冠馬にはここまでに心身両面で、並みの馬とは異なる快走を連続させた 大きな負担の積み重ねがある。3冠馬が5歳以降も何回も走ろうとするのは珍しいことで、過去の3冠馬6頭のうち、5歳以降も出走したのは半数の3頭だけ。その成績は3頭合わせて[1-2-0-3]という大変な記録が残っている。栄光のチャンピオンは、決して不滅ではない。それどころか、打ち倒されて引退を余儀なくされてきたのが、長く活躍しようとしたチャンピオンの定めなのである。オルフェーヴルにもやがて陰りは訪れる。それは、いつなのだろうか。
オルフェーヴルは4歳後半から、ムチを受け入れない馬になっている。鞍上が変な動きや、余計なアクションをすると、振り落とした。余計なムチを入れると、斜行もした。オルフェーヴルぐらいになると、プライドを傷つけるような動きを極度に嫌うのだろう。また、変に慣れ慣れしくすり寄ってくる人間は、本能的にあまり好きではない。池添騎手はオルフェーヴルの、天才のプライドを尊重し黒子に徹することができるだろうか。
今回の組み合わせだと、緩い流れは避けられない。超スローもありえる。またいつかのように、かかって行きたがる危険なしともいえない。凱旋門賞を考えると、行かせてしまうことは許されていない。折り合いは大丈夫だろうか。
そんな心配しながらも、オルフェーヴル には今年こそ、世界にその名を知らしめる偉業を達成して欲しいが、昨年より精神的に穏やかになることはあっても、さらに強くなる可能性はないだろう。生命体の宿命である。
この2000mの距離こそベスト[3-3-0-1]の、ダークシャドウの巻き返しに期待したい。一昨年がレコード勝ちのヒルノダムールと鼻差の1分57秒8。当時は1000万下を勝ったばかりだった。秋には大レコードで天皇賞を制したトーセンジョーダンと半馬身差の1分56秒2。着外1回も昨年の秋の天皇賞の1分57秒7。ツボにはまったエイシンフラッシュと0秒4差の4着だから、凡走ではない。ここ2戦のジャパンC、有馬記念は、4着、5着にとどまっているが、4歳時の勢いが衰えたというより、距離適性の問題だろう。ジャパンCは2分23秒5で、上がり32秒8。2400mもこなしてはいるのだが、ゴール前の伸びを欠いたあたり、ほんのちょっとだけ守備範囲を超えていた気がする。祖母Yousefiaの全兄に快速系の名種牡馬グリーンデザート[その父ダンチヒ]を持つ血統背景が関係しているかもしれない。休み明けだが、ここを叩いてGIというローテーションではないから、馬体はキッチリ仕上がっている。ポン駆けは[2-3-0-0]。
もちろん、オルフェーヴルとの組み合わせが大本線。ほかでは、エイシンフラッシュ、ショウナンマイティ、ヴィルシーナまでだろう。