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[春のGI特別企画] M的データ分析・桜花賞

  • 2013年04月03日(水) 18時00分
 今週は桜花賞をM的にデータ分析していこうと思う。

 M的データ分析は、毎コミの携帯サイトで以前ほぼ毎週連載していたものだが、体力的に毎週更新するのがきつくなってきたので、現在は休載している。

 今回はそれに近い形のものを、GI特別企画として、限定で復活させることにした。

 M的データ分析は、普通のデータ分析と違い、どの前哨戦組が有利とか、何勝馬が有利とか、そういう静的なものではない。

 確かにローテーションを中心に分析するのだが、それまでの記憶の流れを重視するのがM的データ分析の手法になる。

 説明するより実際に始める方が分かりやすいので、さっそく桜花賞を見ていこう。

 昨年勝ったのはジェンティルドンナ。チューリップ賞4着だった。

 過去にチューリップ賞がGIIIになってから、チューリップ賞で連を外して本番連対した馬は6頭。そのうち4頭がチューリップ賞で人気より着順が悪かった馬。つまりチューリップ賞で力を出し切れず、ストレスが残らなかったタイプは当然巻返しが怖い。また連対した6頭中5頭が1400m以下を経験していた。経験していないのは今回のジェンティルドンナだけ。そのジェンティルドンナは、3走前に15頭立てで速い流れになったシンザン記念を先行して勝っている。

 逆にチューリップ賞を同じように人気で連を外したジョワドヴィーヴルは、今回断然人気に支持されたものの6着。同馬の場合はチューリップ賞含めて今回と同じ1600mのみを3戦していた。そして、その全てでテンより上がりの速い緩い流れを差して勝っている。

 つまりステップの中で一度も厳しい流れに入っていないような、活性化されていない馬は巻き返しにくいのだ。チューリップ賞自体が本番と比べればそれほどタイトなレースにならないので、本番が前走より厳しい流れになりやすいステップで巻き返すには、活性化の有無は重要になってくる。

 2着はヴィルシーナ。クイーンC勝ちだった。

 クイーンCを連対して本番も連対した馬は過去に僅か3頭。阪神のマイルGIというタフなレースを前に、広くて単調な東京のマイルを連対して臨むと、そのストレスからレースが辛く感じやすい。

 本番も連対した3頭は、クイーンCで1、2番人気に支持されていた。人気以上に好走して連対しているようでは、そのストレス、反動がきつくなる。またヴィルシーナ以外は2走前がGIの阪神JF。ヴィルシーナの2走前はこの時期の牝馬にはタフで厳しい牡牝混合の内回り阪神2000mだった(500万だが、それはむしろストレス軽減要素になる)。ある程度厳しい流れに自ら入っていった経験がないと、東京マイルという単調な前哨戦を連対してしまったストレスを拭ってまで、好走するのは難しい。

 2年前の勝ち馬はエルフィンS勝ちのマルセリーナ。

 OP特別のマイル戦連対馬は平均的。単調なレースからとなるステップはクイーンCと変わらないが、重賞ではなくレベルの低いOP特別からの分、好走してもストレスの影響が少なく、クイーンC連対馬よりはやや有利だ。

 連対した3頭はともに2月のOP特別。3月からの方が数は多く3着馬は何頭かいるが連対はゼロ。間隔が詰まると、OP特別連対からでももちろんストレスの影響が出やすくなる。間隔が適度に開いていて、生涯鮮度、ないしトップクラスの芝鮮度の高い馬が望ましい。

 2着のホエールキャプチャは先程見たクイーンC連対馬で、2走前がGIを好位から、5走前の未勝利勝ちが小回り1200mと、タイトな競馬に自ら入って競馬をしていた。

 10年はチューリップ賞2着のアパパネが優勝。

 チューリップ賞は今回と同じ阪神マイルでの重賞なので、そこで勝つとストレスレベルはかなり高まる。

 したがってチューリップ賞連対で本番も連対した馬は全てチューリップ賞で3番人気以内、1頭を除けば全て2番人気以内で、チューリップ賞が激走ではなかったタイプ。そういう馬でも本番凡走している馬は多く、連対馬は2走前1番人気2着の1頭を除くと全て2走前も2番人気以内で1着だった。その2着だった1頭は3、4走前が1番人気1着。また3走前に連を外している馬も1番人気3着だった2頭だけで、その2頭は4走前には連対している。

 つまり圧倒的な実力を認められ、結果を出し続けているような名牝でないと、チューリップ賞連対のストレスをはね返すのは難しい。以上に該当していても、チューリップ賞を追い込んで勝ったりとか、ストレスの残る形だと、取りこぼしている人気馬もそこそこいるのが現状だ。

 2着はフラワーC勝ちのオウケンサクラ。

 フラワーCは前哨戦の重賞でタフな中山ということでストレスはきつい。ただ、短縮になること、タフな競馬場からのショックになることで、馬が活性化されるぶん、好走率は比較的高い。

 フラワーC勝ち馬で本番も好走しているのは先行から好位で競馬をしている馬がほとんど。逃げて勝っていると、「逃げ馬の距離短縮」という、前走より楽に逃げられないという、Mでは「逆ショック」と呼ばれるものになるので、該当全馬が人気を着順が下回って凡走している。

 フラワーCを2角2〜9番手以内で勝った馬の中で、本番の桜花賞で着順が人気を下回ったのは、4番人気6着のスマイルトゥモローだけ。同馬はフラワーCで逃げではないが、3角1番手という形で勝っていた。3角2〜7番手勝ちの7頭は本番で人気を着順が上回り、全て5着以内に好走している。その辺りはタイトな条件からの短縮が生む効能になる。

 ただ、小回り急坂の中山1800m重賞というタフな条件に加えて、短い間隔で輸送という問題があるために疲れやすいステップなのは確かで、肉体疲労が唯一最大の問題として、このステップの重しになる。追い切りや馬体重などには注意しておきたい。

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※正誤表が競馬王ブログに掲載されています。

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ストレス、ショック療法など、競走馬の心身構造を馬券にする「Mの法則」を発見し、従来の競馬常識を完全に覆した。現在は、競馬雑誌等で活躍中のほか、馬券研究会「Mの会」を主催し、毎週予想情報の提供を行なっている。主な著書に「短縮ショッカー」、「ウマゲノム版種牡馬辞典」、「ポケット版 大穴血統辞典」などがある。

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