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武豊には黙っていた キズナの皐月賞パス/吉田竜作マル秘週報

  • 2013年04月03日(水) 18時00分
 調教師の仕事が年々変質していることは当コラムでも何度か取り上げてきた。本来は馬を調教し、鍛え上げる「トレーナー」だったはずが、今は馬主と牧場の間を取り持ったり、スタッフの給料、労働時間の管理…。某調教師が言っていたが、「マネジャーという表記がしっくりくる」業務内容になりつつある。

 そんな風潮の中、今年は久しぶりに“本来の”調教師の采配がクラシックを左右しそうな予感がする。

 毎日杯を制したキズナの佐々木調教師はレース後に「実は弥生賞で5着に負けた時点で、すぐにオーナーに『皐月賞はやめて、目標をダービー一本に絞りましょう』と言っていた。でも(武)ユタカにはレースが終わるまでそのことは言わなかったんだ。だって、その方が本人も気合が入るでしょ。だからユタカも『えっ?』って驚いてたよ」とサラッと言ってみせた。

 爽やかな表情でえげつない?ことをと思うのだが、これこそが調教師の仕事の神髄ではないか。自らローテーションを提案し、それを実現するために用意周到に準備する――。判断の的確さといい、狡猾さといい、戦国時代の名軍師さながらだ。

 もちろん大目標に向けての計画も抜かりない。「(毎日杯から)6週間空けて、少し体を増やして京都新聞杯(5月4日=京都芝外2200メートル)へ。それからダービーに臨めばもっとやれる」と青写真を描く。

 関東圏への輸送を極力減らし、キズナの能力を大一番で最大限に発揮する。そのイメージがすでに佐々木調教師にはできているのだろう。戦国模様と言われる今年の牡馬クラシックは、ここで蓄えた“余力”が最後の最後でモノをいうのではないか。

 佐々木師とは違う意味で“采配のふるいどころ”を迎えているのが松田博師。ラウンドワールドこそ背腰の疲れで戦線離脱も、皐月賞にはレッドルーラーがエントリー。さらにラストインパクト、アドマイヤスピカがともに2勝しており、ダービーを目指している。

 難しいのはダービーの出走権を取るためのレース選択。ラストインパクトは早々に「北村友で青葉賞(27日=東京芝2400メートル)へ」と決まったが、問題はアドマイヤスピカ。もともと休みなく使っていたため、松田博師は「勝てなかったらひと休み」と決めて臨んだのが、先週のアザレア賞だった。

 その正念場のレースを上がり32秒8という驚異的な切れ味で差し切り勝ち。「(放牧に)出すわけにいかんよな。青葉賞に行くしかないか」とトレーナーも即座に予定を修正した。さらには同レースで3着に敗れたライジングゴールドも「どこかで権利を取りに行きたい。出られるレースに出す」とのことで、京都新聞杯あたりに出走することになりそう。

 青葉賞は同僚2頭で出走権を争い、京都新聞杯にはキズナ相手に勝利が求められる。難しい選択となるが、その先には悲願のダービーが待っている。

 果たして佐々木師の英断、松田博師の選択はどういう結果をもたらすのか。皐月賞の行方ともども注目していきたい。

※本日は『トレセン発秘話』も更新されております。下部のバックナンバーからご覧ください。

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