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データ分析はどうあるべきか?

  • 2013年04月10日(水) 18時00分
 私は自分の原稿を予想のときに見ると、鏡の中の自分を見ているようで訳が分からなくなるから(笑)、予想するときは基本的に原稿は見ないし、何を書いたかも完全に脳内から消し去るようにしている。そうでないと、自分の原稿に都合の良い予想、当初からバイアスの掛かった予想をしてしまう危険性があるからだ。

 ただ、みなさんは自分で書いた分析ではないから、そういう危険性もないので、思う存分Mのデータ分析を活用して頂きたい。

 今週は先週の桜花賞を使って、データ分析はどのような意味を持ち、実践され、そして反省、改善をされるべきかを、みなさんと考えていきたいと思う。

 私はデータ分析をするとき、予想するときの裏返しで、今回の出走馬については全く考えないようにしている(したがって機械的に過去を振り返っているので、今回出ていないステップを分析する場合も多い。これは一見役に立たないように思えるが、類似したステップの馬が出走していることは多いので、分析の本質的な意味をよく考え、応用して頂けると有り難い)。

 そうでないと、自分が本命にしたい馬、あるいは上位に来そうな馬に対して、良いようにデータを分析してしまう可能性があるからだ。

 そういったバイアスのないプレーンな分析をするため、過去の前哨戦分析も、今年どんな結果だったか、全く脳内から消し去って原稿を書いている。

 だから先週の桜花賞でも、チューリップ賞で何がどうやって勝ったかなどは、一切原稿を書いているときに頭からは消し去っていた。

 そこで改めて、今年のチューリップ賞の結果を見てみよう。

 勝ったのは今回断然人気に支持されたクロフネサプライズの圧勝だった。

 チューリップ賞勝ち馬の解説を読むと、チューリップ賞連対組はストレスがきついとある。

 さすがにこれは、データを頭から消し去ろうとしても、Mの基本なので、予想していても体の記憶からは離れることはなかった。

 もう15年近く前になるので懐かしいが、チューリップ賞がOP特別から重賞に昇格した直後から、こういった分析の原稿で書き続けてきたことがある。

 それは、重賞に格上げされることによってレベルが上がるので、好走馬にとってはより辛いステップになるということだ。

 これこそ、Mの面白さである。

 必ずしもレベルが高いレースを勝てば良いわけではない。

 もちろん能力や好調さの証明というプラス材料はあるが、それと同レベル、場合によってはそれ以上に、ストレスという問題がレベルが高くなるレースを連対すると出てきてしまう。

 10年くらい前から、昔と違って前哨戦を使わず、GIからGIへというステップが主流になる傾向がある。

 GIからGIだとレース間隔が開くのでストレスが薄れるからだ。

 チューリップ賞のようなど真ん中の前哨戦で勝ってしまうとストレスが甚大になるという私が言い続けてきたことが、次第に認知されつつあるということだろう(人気馬が消えにくくなるので、こちらとしては困った現象だが)。

 ところが桜花賞は順調な馬はみんな前哨戦を使うので、予想する方としては面白い。

 先週のチューリップ賞連対馬の分析を読んでみると、本番も連対した馬は、3番人気だった1頭を除いて全てチューリップ賞で2番人気以内だったとある。人気以上に激走して連対すると、よりストレスが溜まるということだ。

 クロフネサプライズは3番人気。データ的にはぎりぎり許容範囲、例外だった一頭に入るといったところか。

 次は2走前。

 1番人気2着の1頭を除くと全て2番人気以内1着だったとある。

 恐ろしいまでに、2走前さえも、人気に応えたタイプの好調馬しか受け付けていないのだ。それだけチューリップ賞連対のストレスレベルがきついということになる

 クロフネサプライズはというと、2番人気以内を大きくオーバーして、15番人気で2着。思い切り激走だ。こりゃ、駄目か・・・。

 しかも唯一2走前2着だった馬は3、4走前は1番人気1着だったとある。

 クロフネサプライズはというと、3、4走前は5番人気1着と8番人気9着。

 先週やったM的データ分析において、ほとんど全ての項目で好走例が無いパターンでは、チューリップ賞連対のストレスをクロフネサプライズが跳ね返すのは、相当に厳しかったということになる。

 道悪で前残り馬場をスイスイ逃げたら怖いと思って3番手評価の予想にしたのだが、この前週のデータ分析では、確かにノーチャンス、無印が正解だったのかもしれない。

 もちろんチューリップ賞2着で連対したウインプリメーラも、前週のデータ分析的には、ほぼノーチャンスになってしまう。

 ところで私はレッドオーヴァルを本命に予想した。

 Mの理論ではL系の距離である1400mばかりを経験して、しかもOP特別を差し切って勝つというストレスの残る勝ち方では、チューリップ賞を負けるのは当然であり、マイナス材料にならない。

 それでも特にプラス材料があるわけでもない人気馬の一頭なので、普段なら本命にすることもないのだが、今回は別路線組に、全く可能性のあるような、M的に面白い人気薄が思いつかなかったのだ。

 別路線の鮮度馬が出てれば一蹴できるメンバーだが、いないのでは仕方ない。それなら、日曜に予想される重馬場巧者のレッドオーヴァルで行くのが無難且つ確実だ。

 ところがっ!あろうことか、アユサンの背中に外国人の姿が・・・。

 Cデムーロに乗り替わったアユサンの馬群からの強襲にあって、レッドオーヴァルは2着だった。

 乗り替わりが無ければ勝ってたような気がしないでもないが、まぁ、それはそれで仕方ないだろう。

 それより反省だ。一応66点には評価していたが、アユサンのステップを確認してみよう。

 前走のチューリップ賞は5番人気3着。人気より着順が良かったので、少し激走の部類になるため、マイナス材料だ。

 ただ、過去に6頭中2頭はそういうタイプが走っているので、致命傷では無い(私は後述の問題より、ここに重点を置きすぎてしまった)。

 さらに戦績を見てみると、チューリップ賞凡走からの巻返し条件の、1400mに出走している。

 そして前走が3角4番手、4角3番手の積極策。これが前週解説した、「流れの中に入って活性化している経験」という、チューリップ賞からの巻き返しパターンに嵌まっていた。

 また今回の桜花賞では、差しに回る位置取りショックを付けたのがポイントになる。もし前走と同じ先行策なら、このステップの場合、チューリップ賞3着のストレスが若干あるので、そもぶん辛く感じて連対はしていない。これがCデムーロに乗り替わったということだろう。前走の3着が好走と判断すれば、そのまま前走と同じ先行策を選んで連を外した可能性の方が高い。

 全く同じことは3着プリンセスジャックにも言える。

 1400m以下を経験していて、前走チューリップ賞を2番手から競馬をして活性化されていた。そして今回は全く同じように差しの位置取りショックを敢行。

 この馬も、前走同様先行していたら、5着もなかったはずで、この位置取りショックはかなり効いた。

 いつも解説していることだが、タイトな流れの差し競馬になった場合、普通にいつも差している馬より、先行から差しに回る位置取りショックを掛けた馬の方が、前走で活性化されているぶんだけ、タイトな流れに対して適応出来て、有利になる。

 ただ、これもやはりいつも解説しているように、果たして前走先行した馬が今回差しに回ってくれるのか?ジョッキーに訊かないと判断できないのが、このタイトな差し馬場における差しに回る位置取りショックの不確実性であり、怖さでもある。

 こういう馬が、陣営から「今回は差しに回る」という話があったり、差しの得意なジョッキーに乗り替わったときには、位置取りショックが敢行される可能性が高いので、特に注意した方がよい。

 何れにせよ、今回の結果から言える確かなことは、チューリップ賞凡走からの巻返しには、一にも二にも流れの中に入った経験、すなわち「ステップにおける活性化の有無」が重要になってくるということだ。

 M的データ分析の中で、何がより重要なことなのか、結果と照らし合わせながら反省して、翌年の参考にしていく。この繰り返しがやはり大切になる。

 私自身もレッドオーヴァルの単勝が掠め取られたことの中に、活性化に対するスポットの当て方、そのやり方に甘さがあったのは確かだ。この点は反省して、次に活かしていかないといけないだろう。

 また近いうちに連載で重賞データ分析をしていくと思うので、そのときは今回やったM的データ分析の実践プロセスを思い出して、活用して頂ければ、幸いに思う。

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ストレス、ショック療法など、競走馬の心身構造を馬券にする「Mの法則」を発見し、従来の競馬常識を完全に覆した。現在は、競馬雑誌等で活躍中のほか、馬券研究会「Mの会」を主催し、毎週予想情報の提供を行なっている。主な著書に「短縮ショッカー」、「ウマゲノム版種牡馬辞典」、「ポケット版 大穴血統辞典」などがある。

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