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キングカメハメハ産駒のポイント

  • 2013年05月01日(水) 18時00分
 今日は皐月賞3着のコディーノを分析しながら、キングカメハメハ産駒の傾向も同時に復習していこうと思う。

 キングカメハメハ産駒は、それぞれの要素が平均的にあって、よくまとまっているのが特徴。様々な条件下で、破綻無く、我慢強く走ることが出来る。

 一番の弱点は、やや疲れやすく、それが短期的にも中長期的にも、走りに影響するという点だ。

 高いレベルでまとまっているので、集中力(C的要素)、闘争心(S的要素)も強く、クリアな状態だと馬群を全く厭わない走りが出来る。

 その為、疲れがないときなら、内が伸びる馬場での内枠がベストになる産駒が多い。

 重賞では1番人気を滅多に本命にしない私としては珍しく、東スポ杯で1番人気のコディーノを本命にしたのも、休み明けで、15頭立ての1番枠だったのが大きい。

 クリアな状態なら馬群を割れるという特性を活かすには、多頭数の1番枠というのは、願ってもない条件だったわけだ。

 もちろん、休み明けでなく、順調に使われて前走も勝っているようなら、1番人気では期待値が低いので本命にはしていなかった。疲れやすいので、疲れてくると次第に馬群を嫌がるのが、キングカメハメハ産駒である。

 もともと全ての要素を高次元で持つ中で、量に近い部分の体力が相対的にやや不足しているので、タフな馬場になって、疲れているときに、厳しい流れの内枠だと、ダメージが出やすいのだ。

 これは何もキングカメハメハ産駒に限ったことではなく、どの産駒だろうが、疲れているときにタフな競馬になれば当然パフォーマンスは下がる。ただ、キングカメハメハ産駒の場合は、もともとまとまっていて破綻が少ないのに疲労に弱いため、その傾向がより鮮明に際立ちやすいわけだ。

 菊花賞までは抜群の安定感を誇っていたローズキングダムが、安定感を失う前に最後に勝ったGIが、初の古馬戦だったJCで、18頭立ての6番枠だったのも、「鮮度とタフさ」の関係を如実に表している。

 何度もここでも書いてきたように、初古馬戦というのは、心身をリフレッシュしやすいのだ。

 初の古馬GIで勝ち負け出来て凄いというのは間違いだといつも書くが、特にキングカメハメハ産駒のように、「闘う意欲が強く、相手が自分より強くても食い下がれるけど疲れやすいタイプ」は、初古馬戦で走らなければ一体どこで走るのか、全くその先が見えなくなるということだ。

 その後3度3着以内に好走しているが、その3回とも中6週以上開いたレースだったのも、もちろん偶然ではない。

 また同馬が最後に勝ったレースは、先行して上がり33.1秒という超速上がりを駆使した京都大賞典だった。

 蓄積ストレスが溜まってくると、疲れの影響が出にくいスローの方が安定感は出やすいのである。

 ロードカナロアはハイペースでも勝ってるぞと思う人もいるかもしれないが、それは1200mの話だ。

 これもずっと書いてきたことだが、短距離の方が生命エネルギーが要らないので、生涯ストレスの影響は出にくく、その為に長距離と違って、GIでも高齢馬が走りやすいのである。

 ましてやロードカナロアはまだ1200mGIに出走してから一年しか経ってない。

 さらには、本質的な適性距離は1400m〜1600mにある。適性距離より短い距離を走ることで、生命エネルギーの消費を抑えられ、強い相手に踏ん張れるというのも、今まで書いてきた通りのことで、これは全ての血統に共通することである。

 オークスを勝つまで全く崩れなかったアパパネが、秋以降は連続で連対出来ず、凡走後の疲労が無いときにのみ好走し、オークスを勝ったのに、最後に勝ったGIがマイルだったのも、全く同じ理由になる。

 アパパネの適性距離は2000m前後だった。だからこそ、適性距離より短いマイルなら、生命エネルギーのストックが減りつつあるのを隠せたのであり、マイルより適性距離だったエリザベス女王杯2200mでは勝てなかった。もちろん、勝てないまでも3着に2回好走出来たときが、ともに内枠だったのも、決して偶然ではない。

 ちなみにフィフストペルが最後に連対したのが強い相手だったGIマイルCSで、このときは6着凡走後の18頭立ての最内1番枠だったのも、その前に連対したレースが休み明けの京成杯AHだったのも、もちろん偶然ではない。

 産駒によって適性距離と使っている距離によって戦績は違うが、その底流にある芝における生命リズムには変わりはない。

 敢えて言えば、量や体力のバランスが強いとルーラーシップ、トゥザグローリーのようなパワー任せのレースが増え、集中力や闘争心のバランスが強いと前述のローズキングダムやアパパネに、より近くなる。

 コディーノの場合はというと、後者の部類だ。

 したがって、クリアなときには馬群を割れる性質は、キングカメハメハ産駒の中でも強い。

 そして生涯鮮度を失うと、トップクラスでは適性距離より短い距離になる性質も、相対的に強くなる。

 若い頃の鮮度期間を過ぎたら、間隔を開けたり、凡走後のレースで疲れが無いとき、内枠やスローのとき、適性距離より短いときなどが、狙い所になるタイプだ。

※M3タイプ
S(闘争心)
闘争心を持つ馬。1本調子に走ろうとする性質。このタイプは気性をコントロールするために、短縮などのショック療法が有効。生涯に1度の絶頂期には、あらゆる条件を飛び越しで走ろうとするが、それを過ぎると極めて不安定になる。Sの由来は闘争を表す「Struggle」の頭文字から。

C(集中力)
集中力を持つ馬。集中して他馬との相手関係の中で走ろうとする性質を持つ。レース間隔を詰めたり、体重を絞ったり、内枠、ハイペース、強い相手との競馬など、摩擦の多い状況を得意とする。Cの由来は「Concentration」の頭文字から。

L(淡泊さ)
淡泊さを持つ馬。自分のペースで淡々と走ろうとするタイプの馬で、距離の延長や少頭数、広いコース、外枠、弱い相手との競馬が有効。Lの由来は「Light」の頭文字から。

M(まとまり系)
ひとつのタイプに偏らず、すべての要素を持ち、全体的にまとまっている馬。そのため、大きな特徴はないが、どんな条件も適度にこなせる。

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※正誤表が競馬王ブログに掲載されています。

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ストレス、ショック療法など、競走馬の心身構造を馬券にする「Mの法則」を発見し、従来の競馬常識を完全に覆した。現在は、競馬雑誌等で活躍中のほか、馬券研究会「Mの会」を主催し、毎週予想情報の提供を行なっている。主な著書に「短縮ショッカー」、「ウマゲノム版種牡馬辞典」、「ポケット版 大穴血統辞典」などがある。

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