今日は皐月賞3着のコディーノを分析しながら、キングカメハメハ産駒の傾向も同時に復習していこうと思う。
キングカメハメハ産駒は、それぞれの要素が平均的にあって、よくまとまっているのが特徴。様々な条件下で、破綻無く、我慢強く走ることが出来る。
一番の弱点は、やや疲れやすく、それが短期的にも中長期的にも、走りに影響するという点だ。
高いレベルでまとまっているので、集中力(C的要素)、闘争心(S的要素)も強く、クリアな状態だと馬群を全く厭わない走りが出来る。
その為、疲れがないときなら、内が伸びる馬場での内枠がベストになる産駒が多い。
重賞では1番人気を滅多に本命にしない私としては珍しく、東スポ杯で1番人気のコディーノを本命にしたのも、休み明けで、15頭立ての1番枠だったのが大きい。
クリアな状態なら馬群を割れるという特性を活かすには、多頭数の1番枠というのは、願ってもない条件だったわけだ。
もちろん、休み明けでなく、順調に使われて前走も勝っているようなら、1番人気では期待値が低いので本命にはしていなかった。疲れやすいので、疲れてくると次第に馬群を嫌がるのが、キングカメハメハ産駒である。
もともと全ての要素を高次元で持つ中で、量に近い部分の体力が相対的にやや不足しているので、タフな馬場になって、疲れているときに、厳しい流れの内枠だと、ダメージが出やすいのだ。
これは何もキングカメハメハ産駒に限ったことではなく、どの産駒だろうが、疲れているときにタフな競馬になれば当然パフォーマンスは下がる。ただ、キングカメハメハ産駒の場合は、もともとまとまっていて破綻が少ないのに疲労に弱いため、その傾向がより鮮明に際立ちやすいわけだ。
菊花賞までは抜群の安定感を誇っていたローズキングダムが、安定感を失う前に最後に勝ったGIが、初の古馬戦だったJCで、18頭立ての6番枠だったのも、「鮮度とタフさ」の関係を如実に表している。
何度もここでも書いてきたように、初古馬戦というのは、心身をリフレッシュしやすいのだ。
初の古馬GIで勝ち負け出来て凄いというのは間違いだといつも書くが、特にキングカメハメハ産駒のように、「闘う意欲が強く、相手が自分より強くても食い下がれるけど疲れやすいタイプ」は、初古馬戦で走らなければ一体どこで走るのか、全くその先が見えなくなるということだ。
その後3度3着以内に好走しているが、その3回とも中6週以上開いたレースだったのも、もちろん偶然ではない。
また同馬が最後に勝ったレースは、先行して上がり33.1秒という超速上がりを駆使した京都大賞典だった。
蓄積ストレスが溜まってくると、疲れの影響が出にくいスローの方が安定感は出やすいのである。
ロードカナロアはハイペースでも勝ってるぞと思う人もいるかもしれないが、それは1200mの話だ。
これもずっと書いてきたことだが、短距離の方が生命エネルギーが要らないので、生涯ストレスの影響は出にくく、その為に長距離と違って、GIでも高齢馬が走りやすいのである。
ましてやロードカナロアはまだ1200mGIに出走してから一年しか経ってない。
さらには、本質的な適性距離は1400m〜1600mにある。適性距離より短い距離を走ることで、生命エネルギーの消費を抑えられ、強い相手に踏ん張れるというのも、今まで書いてきた通りのことで、これは全ての血統に共通することである。
オークスを勝つまで全く崩れなかったアパパネが、秋以降は連続で連対出来ず、凡走後の疲労が無いときにのみ好走し、オークスを勝ったのに、最後に勝ったGIがマイルだったのも、全く同じ理由になる。
アパパネの適性距離は2000m前後だった。だからこそ、適性距離より短いマイルなら、生命エネルギーのストックが減りつつあるのを隠せたのであり、マイルより適性距離だったエリザベス女王杯2200mでは勝てなかった。もちろん、勝てないまでも3着に2回好走出来たときが、ともに内枠だったのも、決して偶然ではない。
ちなみにフィフストペルが最後に連対したのが強い相手だったGIマイルCSで、このときは6着凡走後の18頭立ての最内1番枠だったのも、その前に連対したレースが休み明けの京成杯AHだったのも、もちろん偶然ではない。
産駒によって適性距離と使っている距離によって戦績は違うが、その底流にある芝における生命リズムには変わりはない。
敢えて言えば、量や体力のバランスが強いとルーラーシップ、トゥザグローリーのようなパワー任せのレースが増え、集中力や闘争心のバランスが強いと前述のローズキングダムやアパパネに、より近くなる。
コディーノの場合はというと、後者の部類だ。
したがって、クリアなときには馬群を割れる性質は、キングカメハメハ産駒の中でも強い。
そして生涯鮮度を失うと、トップクラスでは適性距離より短い距離になる性質も、相対的に強くなる。
若い頃の鮮度期間を過ぎたら、間隔を開けたり、凡走後のレースで疲れが無いとき、内枠やスローのとき、適性距離より短いときなどが、狙い所になるタイプだ。
※M3タイプ
S(闘争心)
闘争心を持つ馬。1本調子に走ろうとする性質。このタイプは気性をコントロールするために、短縮などのショック療法が有効。生涯に1度の絶頂期には、あらゆる条件を飛び越しで走ろうとするが、それを過ぎると極めて不安定になる。Sの由来は闘争を表す「Struggle」の頭文字から。
C(集中力)
集中力を持つ馬。集中して他馬との相手関係の中で走ろうとする性質を持つ。レース間隔を詰めたり、体重を絞ったり、内枠、ハイペース、強い相手との競馬など、摩擦の多い状況を得意とする。Cの由来は「Concentration」の頭文字から。
L(淡泊さ)
淡泊さを持つ馬。自分のペースで淡々と走ろうとするタイプの馬で、距離の延長や少頭数、広いコース、外枠、弱い相手との競馬が有効。Lの由来は「Light」の頭文字から。
M(まとまり系)
ひとつのタイプに偏らず、すべての要素を持ち、全体的にまとまっている馬。そのため、大きな特徴はないが、どんな条件も適度にこなせる。
大穴血統辞典2013-2014
競馬王新書054『ポケット版 大穴血統辞典2013-2014 反動編』は、10月20日(土)発売です!!
今作は、シリーズ最多100頭の父&母父の最新データ、激走後の反動力を見る新指数「衝撃指数」、激走の仕組みや狙い方を血統が苦手な人にも使えるように書き下ろした「ショックの全貌」など、著者・今井氏の理論の集大成ともいうべき一冊になっています。進化を続ける血統辞典を片手に、驚愕の大穴馬券を狙い撃ちしてください!!
※正誤表が
競馬王ブログに掲載されています。