今週は2400mを超える長距離重賞が2つあったので、例によって血統中心に見ていこう。
ダービーと目黒記念だ。
目黒記念は、アルゼンチン共和国杯などと同じ、古馬の長距離重賞でハンデ戦と荒れる要素が満載。Mの一番得意とするカテゴリーでもある。というのも、古馬なのでストレスを抱えた馬が多く、心身疲労が長距離を走りにくくしている人気馬が多く出てくるからだ。
ただ、今年は面白い上がり馬がいなかった。そこで本命にしたのはルルーシュ。ゼンノロブロイ産駒はL系で、量と体力で走るタイプ。揉まれ弱く、気が良いので休み明けから走れる。
ということは、休み明けで、広いコースの外枠というのは、ストレスが無く、揉まれないという、絶好の条件になる。
1番人気はアドマイヤラクティ。前走の天皇賞4着が、早め捲りの馬が上位を独占する中、4角で後方にいた馬の中で唯一掲示板に入ったという内容で、それが評価されてのものだ。実際、私も本命にしていたので思い出すのも悔しいが、それはそれ、今回は前回ほど評価できない。
ここで何度も触れてきた疲れやすいハーツクライ産駒が、GIで見所充分の4着後の中3週。疲れていないわけがない。逆に対抗に評価したムスカテールは良い。揉まれ強く精神的にタフなマヤノトップガン産駒の内枠。天皇賞は16着に惨敗したが、この距離なら延長より短縮が向くし、ストレスがないというのも大きい。
他の人気馬では、カフナの心身疲労が微妙だ。
前2戦がOP特別で、3走前が準OP。強い相手と戦っていないので、心身疲労が少ないのはプラス。ただそれでも、オープン連続好走の心身疲労はあるはずで、やはりハーツクライ産駒同様、疲れやすいキングカメハメハ産駒だ。心身疲労が無いといえば嘘になる。
レースは前崩れの中、ルルーシュが3角9番手以内の中では唯一5着内に粘って2着。流れが向いたムスカテールが差し切って、1着。馬連27倍を1点目で綺麗に当てることができたのだった。
次はダービー。
2400m以上重賞で、一番苦手なのがこのダービーである。というのも、まだ3歳春なので、各馬心身疲労があまり蓄積していない。そこに、広くて単調なコースのため、摩擦の少ない東京だ。量が豊富な好調馬が、そのまま淡々と上位に来やすい設定で、結果、堅く収まりやすい。
得意なわけがない条件設定なのだが、今年も量系の人気馬にやられた。キズナとエピファネイアだ。
ともに、揉まれ弱く、量が豊富な単調な差し馬。流れもちょうどメイケイペガスターの無茶苦茶な大捲りで、外追い込み馬にドンピシャリになった。
この2頭は、量や体力は豊富だが、以前書いたように精神的踏ん張りはない。このまま人気になってくれるようなら、秋のGI戦線がタフな競馬にさえなれば、人気薄でいろいろ楽しめそうではある。
問題なのは、血統的に奥がある馬がクラシック路線に、まだ今年はほとんど乗っていないことだ。夏の上がり馬にそういう馬がいなかったら、秋はかなり低レベルな争いになりそうである。そういう意味でも、夏の条件戦には、例年以上に目を光らせておきたい。
※M3タイプ
L(淡泊さ)
淡泊さを持つ馬。自分のペースで淡々と走ろうとするタイプの馬で、距離の延長や少頭数、広いコース、外枠、弱い相手との競馬が有効。Lの由来は「Light」の頭文字から。
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※正誤表が
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