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ゲットアテープ、ダービー狙う逸材/吉田竜作マル秘週報

  • 2013年06月12日(水) 18時00分
 特殊な業種だけに、ともすれば「閉鎖的」と言われるトレセン社会だが、だからこそ生まれる“絆”もある。

 3回阪神開幕週(2日)の芝内1200メートル新馬戦を制したのは「どこに出ても勝てる」と担当の清山助手が豪語していたエイシンオルドス(牝・坂口)。古くからのPOGファンなら彼をご存じなのではないか? 坂口「則」キュウ舎と表記された時代に、攻め馬専門の調教助手としてキュウ舎を支えた腕利き。時が流れ、攻め馬専門から「馬持ち」と言われる持ち乗りの調教助手へと転身したのにはある思いがあった。

「岩本さんの馬のつくり方というのを近くでずっと見てきた。それを自分も実践したい気持ちが強かったし、何より岩本さんに恩返しがしたいんだ。いつか自分の馬で重賞を勝って、天国の岩本さんに『やったぞ』って言いたい」

「岩本さん」とはかつてエイシンサンサン、エイシンバーリンなど担当馬をことごとくオープン入りさせていた腕利きキュウ務員。2009年に病気のため他界したが、この2人が坂口(則)キュウ舎の黄金期をつくったと言っても過言ではない。“遺志を継ぐ”――。清山助手の仕事ぶりにそれは表れている。

 一方で文字通り“遺志を継いだ”人間もいる。岩本キュウ務員の息子にあたるのが安田キュウ舎の岩本助手。あのロードカナロアを担当する“若き名職人”だ。カレンチャンとロードカナロア。ほぼ同時期にこの2頭をスターダムに乗せられたのは馬自身の資質、キュウ舎全体の力ももちろんあったが、やはり身近で支えた彼の尽力が大きかった。屈託のない笑顔、飾らない人柄、そして担当馬との距離感…まさに「父譲り」と言うほかない。

 その岩本助手が現在担当している2歳馬がディープインパクト産駒のゲットアテープ(牡=母オイスターチケット)。

「ウチにこの馬のお兄ちゃん(バジンガ)がいるんだけど、馬体が全然違うよね。幅があるし、トモなんかもプリップリ。2歳馬とは思えない体をしてるんですよ。乗り味もいいし、距離も持ちそうな馬。これでダービーに行けるといいなって思っているんです」

 唐突に出てきた大舞台の名前。ゲットアテープの素質を高く買っているのはもちろんだが、ある出来事が彼に日本ダービーを強烈に意識させることとなった。

「キズナを担当する田重田キュウ務員は昔から親父と仲が良くて。僕も小さいころからかわいがってもらっていたんです。田重田さんに抱っこされて口取りに写ってる写真があるくらいですから(笑い)。だから今年のダービーは本当にうれしかった。自分のことのように喜びましたよ」

 名キュウ務員がまいた“絆”という種は、2014年クラシックで大きな花を咲かせるに違いない。

※本日は『トレセン発秘話』も更新されております。下部のバックナンバーからご覧ください。

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