ドバイ帰り初戦ということで海外遠征後の立て直し→再仕上げが注目される宝塚記念のジェンティルドンナ。同じ牝馬として2010、11年にドバイに遠征しているブエナビスタの松田博調教師は当時の経験を思い出してこう語る。
「海外に行く時は調子がいいから行くんであって、現地では馬もデキがいいから調整は楽だった。でも、逆に走った後は大変。やっぱり馬もそれだけ疲れているし、特に若いころは馬も一生懸命走るからその分疲れも多い。4歳で行った時は戻ってから本当にヴィクトリアマイルに間に合うのか心配だった」
そんな状況でも約1か月半の間隔で使ったVマイルをきっちり勝つのだからやはりブエナビスタは怪物だったということだが、立て直しが簡単ではなかったというのは事実のようだ。
対するジェンティルドンナの場合はどうか。まず、ブエナと違うのは帰国初戦のレースがヴィクトリアマイルではなく宝塚記念で約1か月余分に間隔を取れているという点。
そしてドバイでの馬の様子。主戦の岩田によればレースでは「フワフワして全くエンジンが点火せず本気で走っていなかった」という。普段の調教でも「初めて見るものばかりで遠慮していたのか変におとなしかった」(調教パートナーの井上助手)とか。ブエナと違って一生懸命走っていなかったとすれば、レース後の立て直しはそこまで困難ではなかったことが推測される。
事実、この中間はこれまで週1回だけウッドに入っていた馬が金、日曜と週2日ウッド入りするようになった。石坂調教師が「牡馬並みの調整をしても大丈夫」と判断したからだという。つまり、これまで以上に調整強度を強めてもいいデキにあるということだ。
常々岩田が「ブエナに並ぶ存在になってほしい」と語るジェンティルドンナ。ブエナが2回チャレンジしてともに2着に終わった上半期のグランプリを制すれば…偉大な名牝にまた一歩近づくことになる。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
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