土曜日の朝、弊社のスタッフが「ひぇー」と大声を出して驚いた。七夕賞の前売りが開始されて間もなく、枠連の「7-7」が、なんとオッズ「9倍」を示していたらしい。同じ組み合わせの馬連「13-14」は数十倍だったという。
先週の、同じフルゲートでハンデ戦のラジオNIKKEI賞は、1着から16着まで「0秒9」差の大接戦だった。コース取りと、持ち味を最大限に生かす仕掛けのタイミングひとつで、着順はいかようにも変わりそうだった。芝は生えそろって見た目には高速馬場を思わせるが、スローで展開しながらもNIKKEI賞の各馬の上がりは少しも速くない。それでなくとも難解なハンデ戦は、今季は芝コンディションまで難しい。
七夕賞といえば、1979年から2004年まで、東北記念として秋に施行された年を含めると、1番人気馬が「26連敗」という不滅の歴史をもつ伝統のハンデ戦である。話のネタに、第49回の7-7を買ってみた気持ちも分かる。
人気が走るわけではない。どのみち人気は割れる。今年はとくに。人気は考えないことにして、6歳エクスペディション(父ステイゴールド)から入りたい。
昨年の七夕賞は0秒7差の8着にとどまったが、得意の小倉(小倉記念)に標準を合わせたローテーションで、当時は休み明け。1度使ったあとの小倉記念は2馬身半の差をつける圧勝だった。1分57秒3で乗り切っている。
しかし、今年はここが休み明けではなく、サマー2000シリーズを狙うかのように、鳴尾記念をひとたたきしてきた。内田博幸騎手まで早めに確保している。流れに合わせてどの位置からでもレースができる自在型である。
半兄ツルマルヨカニセ(父ダンスインザダーク)が、全7勝中の5勝を、そしてエクスペディションはここまでの全6勝中の5勝を小倉コースで記録しているように、小倉一族であるのは確かだが、コース形態の似ている福島が合わない理由はひとつもない。得意の夏のローカル戦である。小倉巧者としてつとに有名だったメイショウカイドウは06年、59キロを背負って小倉と同じように七夕賞を制している。
能力や特性とは関係ないが、エクスペディションのファミリーは大変な名門で、数えて7代母になるフェオラという牝馬は、ディープインパクトの6代母でもある。先日、久しぶりにロイラルアスコット開催でGIを制した女王陛下の、かつての所有馬ハイクレア(仏オークスなど)や、名種牡馬となったオリオール(セントクレスピンなどの父)と同じファミリーの非常に近い分枝に属している。
相手本線は、今回の動きがこれまでよりずっと良くみえたユニバーサルバンク(父ネオユニヴァース)。中央場所に出走がほとんどだが、根は平坦に近いコースでこそのタイプと思える。もう1頭、デキ絶好のマイネルラクリマ(父チーフベアハート)。
以下、ダコール、インに突っ込んで行きそうな穴馬タガノエルシコ、トレイルブレイザー、ファタモルガーナを連の相手としたい。