ノーザンファームしがらき、山元トレセンというノーザン、社台両ファームの“2大基地”は、もはやなくてはならない存在。となると相対的に立場が低下してくるのが栗東、美浦の両トレセン。今では「しがらきでゲートから何からほとんどやってくるので、こっちでは試験を受けてレースへの手続きをするだけ」などと自虐的なことを言う関係者も少なくはない。
管理馬の多くがノーザンファームしがらきを利用している松田博調教師はこの手の発言に憤りを感じている。
「最近の子は入ってきた馬のクセが悪いと、すぐに『牧場での調教が悪い』となる。そうじゃないだろう。それを何とかして、競馬まで持っていくのが俺たちの仕事。諦めたらトレセンの存在意義がなくなる。今は(トレセンの)外も中もやることにほとんど違いがなくなってきた。違うのは賃金くらい。やってることに変わりがなくて、片方が安い給料でやれているとなったら、馬主さんらも『じゃあ、もっと(預託料を)安くできるだろ』となってしまう。これだけ立派な施設があるのだし、ここでしかできないことをやっていかないと」
実際、躍進目覚ましい厩舎には、必ずと言っていいほど現状を変える“若い力”が存在する。トランセンド、ロードカナロアでその名を世界にとどろかせた安田厩舎の快進撃を支えている安田景一郎、翔伍の兄弟調教助手はその筆頭に挙げられようか。
栗東の調教といえば、「勾配のきつい坂路ではスピードを磨き、トラックでスタミナを培う」考え方が支配的だった。しかし、安田翔助手の考え方はかなり異なる。
「正直、坂路だけでもやり方次第で息はつくれると思います。今のウチの厩舎はウッドやポリトラックはレースに向けてコンディションを整えていく、という感じで使っています。しっかり負荷をかけたい時にむしろ坂路を使いますね。坂だとしっかり走らないと前に進んでいかないわけじゃないですか。フィジカルを鍛えるのにはよりいいと思うんですよ。もちろん馬にもよりますが」
こうした考えがうまく機能したのがロードカナロアの安田記念だった。「放牧から帰ってレースの2週前までは坂路できつくやった。直前はマイルを意識してトラックでゆったりとストライドを伸ばすように乗りました」と同助手。もちろんロードカナロア自身の能力の高さゆえ、という部分もあるが、陣営の思惑通りにカナロアはマイル路線も制圧してみせた。
古くても良いものはあるが、多くの人間は疑うことすらなく、それに流されてしまうもの。あえて常識を疑い、チャレンジすることでしか新たなスタンダードは生まれない。近年の安田厩舎の活躍も、そうした姿勢がにじみ出ているから…そう思うのは記者だけではないはずだ。
常に目が離せない安田厩舎は、カレンブラックヒルの半弟レッドアルヴィス(父ゴールドアリュール、母チャールストンハーバー)を土曜(20日)中京芝1600メートルでデビューさせる。「鞍上の指示に素直に反応してくれる。気性が真面目だし、攻めの良さが生きそう」と安田翔助手。この世代を代表する一頭になれるか。ぜひ、その走りに注目してほしい。
※本日は『トレセン発秘話』も更新されております。下部のバックナンバーからご覧ください。
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