先週の続き、まずはゼンノロブロイ産駒のマカニビスティーが、大幅短縮で揉まれて投げ出すリスクを回避する方法について話そう。
小回りでも単調な流れになって先行出来るという幸運でもない限り、小回りで揉まれない方法は二つしかない。それは先週見た捲りか、あるいは追い込みかだ(ただし、小回りの追い込みの場合は、いろいろと制約が付く)。
そしてレースが始まった。
マカニビスティーは、道中13頭立ての13番目と最後方から、3角では2番手と大捲りを打ったのだ。七夕賞で見た、トレイルブレイザーが激走したのと同じ、極端な大捲りである。
小回りでは、こういう注文を付けることで、揉まれずに、持ち前のパワーと体力を目一杯活かすことができる。実際、普通に好位から競馬をしていれば、揉まれて5、6着ぐらいだった可能性の方が遙かに高い。
この大沼Sの後、中1週で迎えたのが、マリーンSだ。
前走と全く同じ函館1700mなのだから、前走で2着に好走した以上、前走の8番人気から一転、3番人気に支持されるのも当然の流れだった。しかも前走の大沼Sで下した馬が半数以上出走してきているメンバーなのだから、人気になるのも仕方ない。
斤量はハンデ戦から別定に替わって2キロ増えるが、他の大沼S組も、ほとんどが増えるので、斤量はマイナス材料にならない(もとより、パワーのあるL系の場合、トレイルブレイザーでみたように斤量は影響しにくい)。
ただ、視点を変えてM的に見れば、マイナス材料が満載だ。前走の中8週から中1週にレース間隔が詰まって、しかも前走1着でストレスがある。
さらには、前走は完璧な捲りによって小回りで揉まれるリスクを減らしながら体力ロスを抑えた好騎乗が功を奏しただけ。
今回、同じようなタイミングで捲れるかというと、かなり疑わしい。捲りは、タイミングが非常に難しく、かつストレスレベルによって、動けるタイミングも違ってくるのだ。派手な大捲りで好走して凄いと思われやすいが、よほど常に捲りをしている、平常心で捲るような捲り専門馬でもない限り、2回連続で大捲りを決めるのは、精神的にも、肉体的にも難しいのである。
結果、前走負かした大沼S組のうち、4頭に先着を許して6着凡走。2、3着は、大沼S組で、マカニビスティー同様に2キロ斤量が増えた馬の巻返しに終わった。
このような現象は、M的にはごく当たり前の光景だが、特にゼンノロブロイ産駒には多く発生しやすいということは覚えておいて頂きたい。これがストレスに弱いL系における好凡走の典型パターンになる。
ではダイワメジャー産駒とどう違うのか?
ダイワメジャー産駒も、使われると脆く、ストレスに弱いのなら、結果、同じようなパターンになるのではないか?
確かに、一見同じような結果になることは多いだろう。
何度も書くが、鮮度の高いときは強い相手や困難に立ち向かえて、ストレスが溜まれば揉まれ弱くなるのは、多かれ少なかれ、全ての競走馬に共通の現象でもあるから、余計である。
しかも、2頭はともに疲労かストレスに弱いので、その傾向が加速しやすく、結果は同じになりやすい。ただ、そこに至る過程は違うので、結果もまた微妙に異なってくる。
ダイワメジャー産駒の場合は闘う意欲はあるが疲れやすいS系の為、鮮度がないと踏ん張りが利きにくくなるのだが、ゼンノロブロイ産駒の場合はL系で、ストレスがあると厳しい状況では投げ出しやすくなるのだ。
ゼンノロブロイ産駒は、別段疲れやすいわけではない。またダイワメジャー産駒ほど、中長期の蓄積疲労にも弱くはないので、生涯を通じて、次第に踏ん張りが利かなくなるという現象は少ない(そのぶん、最初からある一定の負荷が掛かれば、我慢が利かなくなるわけだが)。
※M3タイプ
L(淡泊さ)
淡泊さを持つ馬。自分のペースで淡々と走ろうとするタイプの馬で、距離の延長や少頭数、広いコース、外枠、弱い相手との競馬が有効。Lの由来は「Light」の頭文字から。
S(闘争心)
闘争心を持つ馬。1本調子に走ろうとする性質。このタイプは気性をコントロールするために、短縮などのショック療法が有効。生涯に1度の絶頂期には、あらゆる条件を飛び越しで走ろうとするが、それを過ぎると極めて不安定になる。Sの由来は闘争を表す「Struggle」の頭文字から。
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※正誤表が
競馬王ブログに掲載されています。