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ダークホースとなり得る新種牡馬たち

  • 2013年07月19日(金) 12時00分
 血統登録頭数が多い新種牡馬を、先週まで取り上げてきた。しかし数が少なくても、ダークホースとなり得る新種牡馬がいる。今週と来週は、それらを取り上げてみたい。

 コマンズはデインヒル産駒で、全兄にデーンウイン(豪3歳チャンピオン)、おじにオクタゴナル(豪年度代表馬)がいる良血馬だ。ダーレーがシャトルで送り込んだが、すでに海外ではGI勝ち馬を10頭も出す成功を収めている。

 そのわりに血統登録頭数が50頭と少ない。理由はいくつか考えられる。まずダーレーがこれまでに導入した種牡馬に、大成功した例がない点だ。初年度の種付料も500万で、不況にあえぐ日高の中小牧場にとっては、なかなか手を出しづらかった。

 また父のデインヒルは世界的に大成功したが、浦河の生産者グループがリース導入したときの産駒はいま一つだった。後継種牡馬も失敗続き。日高の牧場はその後遺症が尾を引いている。しかし、血統背景と海外の種牡馬実績は、文句のつけようがない。

 課題を挙げるとすれば、デインヒル系に特有の「力のスピード」が、日本の高速馬場に対応できるかに尽きる。とはいえ、デインヒル系とサンデー系の相性は実証済み。サンデー系の繁殖牝馬との配合が、その課題をうまくクリアしてくれることを期待したい。

 パイロも同じくダーレーが導入した新種牡馬。GIのフォアゴーS(ダ7ハロン)を含め、北米の重賞を5勝。米2歳チャンピオン決定戦、BCジュヴェナイルで2着の実績も持っている。

 父系のシアトルスルー系は、昔から日本の競馬に適性が高い。父のプルピットもピットファイター(武蔵野S)、ステンカラージン(栗東S2着)らの持込馬、外国産馬で、すでに日本ではおなじみだ。

 芝もこなせるが、本質はパワータイプ。持てる能力を最大に発揮できのは、やはりダートの短中距離になるだろう。むろん仕上りは早く、2歳の早くから期待できる。

血統評論家。月刊誌、週刊誌の記者を経てフリーに。著書「競馬の血統学〜サラブレッドの進化と限界」で1998年JRA馬事文化賞を受賞。「最強の血統学」、「競馬の血統学2〜母のちから」、「サラブレッド血統事典」など著書多数。

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