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ハクサンムーン、アウトクラトールなどアイビスSD分析

  • 2013年07月23日(火) 18時00分
 先週の当コラムの冒頭で取り上げたのは「栗東坂路が時計の出やすい馬場状態」という内容でしたが、バーデンバーデンCのマイネルエテルネルに続き、またしても、栗東坂路で自己ベストを更新した馬がメインレースを制しました。

 それが、中京記念のフラガラッハ。最終追い切りは栗東坂路で4F50.3秒という、これまでの自己ベストを0.4秒更新する時計でしたが、これが刺激になったのか、2012年中京記念以来の1着。中京芝1600mへの適性が高いことは間違いないでしょうが、それに加えて、自己ベストを更新できるほど、スピードが出せる状態だったことも勝因でしょう。

 マイネルエテルネル、フラガラッハに共通するのは「夏場に勝っていた」という季節的な要因。暑くなってくれば、普通は調子が落ちてくることが多いのが競走馬ですが、逆に調子を上げていくタイプが、自己ベストを更新するほど、スピードが出せると、レースでも結果が出やすいのかも知れません。

 まして、今週から、開幕週の新潟競馬場と小倉競馬場。どちらも走破時計が速くなりやすい競馬場ですし、より、スピードを出せることが結果に繋がりやすいと考えてよいでしょう。その典型といってもよいのが、今週末の重賞、アイビスSD。直線芝1000mはスピードが出せないことには話になりません。

 よって、例年、坂路調教で速い時計を出せている馬を狙っているレースですが、昨年は函館競馬場で追い切られて、新潟入りしたパドトロワが優勝。坂路調教馬でない上、船に揺られて輸送してくるという環境でも勝ってしまわれると、どうしようもありません。今年も、パドトロワやアフォードが函館競馬場で追い切って、レースに挑むようですが、昨年のことがあるからといって、今年は評価する、なんてスタイルをとるつもりはありません。昨年のパドトロワを例外と考え、やはり坂路調教馬を重視するということになるでしょう。

馬体の充実ぶりが素晴らしいハクサンムーン

馬体の充実ぶりが素晴らしいハクサンムーン

 そんな中でも、ハクサンムーンの存在は一枚も二枚も抜けています。持っているスピード能力は現役競走馬でもトップクラス。それを示すように、高松宮記念3着、CBC賞2着と結果も出しています。昨年は4着に敗れたレースですが、1000下を勝ったばかりで挑戦した時とは、全く違います。

 今年は馬体の充実ぶりが本当に素晴らしい。いつも、角馬場で調整してから、坂路馬場でのキャンターや追い切りをこなしますが、かなり遠い角馬場の様子を双眼鏡で見ても、馬体はピカピカ。そしてムチムチ。精神的に落ち着きが出ている現状が、馬体の張りをより一層、見栄えするものにしているのでしょう。また、坂路での追い切りも終い重点で動けるようになっており、スピードのコントロールが利いているのはなにより。最終追い切りで西園正都厩舎の勝負調教に該当すれば、間違いなく、この馬と心中するつもりです。

堅実さが魅力のアウトクラトール

堅実さが魅力のアウトクラトール

 同じく栗東調教馬では、アウトクラトールにも注目。坂路での自己ベストは4F51.1秒なので、最終追い切りでこの時計が更新されるかは微妙なところですが、8歳にして、堅実な走りを見せているのは魅力。ちなみに、昨年出走時(6着)の最終追い切りでは、4F52.1秒という時計だったので、この数字はひとつの目安にしたいと思います。

 アイビスSDには登録だけ、出走は佐世保Sになるだろうリトルゲルダですが、こちらは前走1着時(知多特別)が自己ベストを更新した、4F52.6〜1F11.9秒。この馬の魅力は、4F時計が速いにも関わらず、ラスト1Fも速いという点です。

出走すれば面白いリトルゲルダ

出走すれば面白いリトルゲルダ

 昨年のこの時期に未勝利を勝ち上がったということを考えると、季節的にも、これからが上積みのある時期。直線競馬は4戦2勝と実績もありますから、出走すれば、本当に面白い存在でしょう。もちろん、佐世保Sに出走ということになっても、4F時計の速い追い切りは適性の高い調教ということになりますから、自己ベストを更新してくるようであれば、人気でも評価しなければいけません。

 今朝の調整を見て、好感触だった栗東調教馬を取り上げさせてもらいましたが、もちろん、美浦坂路調教馬であっても、自己ベストを更新するような4F時計を出していれば、高い評価をしたいと思っています。

◆次走要注意

・7/20 中京5R 2歳新馬【マイネルアミークス】(4人/3着)

 デビュー前の中間追い切りでは、追われて渋太い印象。ただ、実戦では、レースの流れに乗って、直線では先頭に立つ、王道のレースぶり。最後は少し甘くなってしまいましたが、レースセンスはかなり高いと思います。
 この走りを見る限りは、直線長いコースよりも、短いコース向き。距離は1800mでも問題なさそうなので、小倉芝1800mあたりで勝ち上がってくれそうです。

[メモ登録用コメント] 小倉芝1800mで西園正都厩舎の勝負調教

・7/21 中京7R 3歳上500万下【ラヴァーズポイント】(人/着)

 32キロの馬体重増は、本来あるべき数字だと思うので、敗因ではないでしょう。走りやすい体だったからこそ、先行するレースができたと思います。
 問題は直線の坂。追い出して伸びなかったのは、これが原因だと思うので、小倉芝1200mに戻れば、あっさり決めてくれるはずです。

[メモ登録用コメント] 調教本数が標準以上なら勝ち負け

◆今週末馬券圏内

・7/27 新潟9R 閃光特別【シンボリゾンネ

 直線競馬は3走前に経験して、勝ち馬から0.2秒差の6着。適性があることは、この成績から十分ですが、問題は約7ヶ月ぶりのレース間隔。
 それを埋めるために、2週続けて、目一杯に追われて、坂路4F51.1秒。特に先週はテン1F目から13秒台のラップを刻むことができており、動ける態勢は整ってきたでしょう。

[メモ登録用コメント] 最終追い切りが馬なりで美浦坂路4F51秒以下なら勝ち負け

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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