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ダイワメジャー産駒とゼンノロブロイ産駒実践編

  • 2013年07月24日(水) 18時00分
 先週はゼンノロブロイ産駒とダイワメジャー産駒の違いについて見てきた。同じようにストレスに弱いように見えるが、その原因が違うので、結果も微妙に異なるという話だった。

 今週、そんなゼンノロブロイ産駒とダイワメジャー産駒がキーを握る、実践編としてピッタリのレースがあった。土曜の福島6Rだ。

 前日予想でも、二つの種牡馬の特徴を利用したこともあって、1〜3着馬が予想の順番通りに来て3連単460倍を1点目で当てることが出来た。そこで早速、2つの種牡馬の実践法を見てみよう。

 このレースで本命にしたのは、6番人気のゼンノロブロイ産駒ハーストイーグル。

 初の小回り福島で、15頭立ての最内枠と、揉まれ弱いゼンノロブロイ産駒には、なんとも心許ない状況だった。普通のレースで、仮に人気になっているようなら、血統を見た瞬間に何も考えずに真っ先に切り捨てるタイプだ。

 だが今回は、まだこれがデビュー2戦目で、半年近い休み明け。あまりにも鮮度が高すぎる。鮮度が高いときは、例えどんな血統であろうが、過剰に揉まれない限り、馬群を嫌がるリスクは低くなる。まして気の良いゼンノロブロイ産駒は、休み明けなどフレッシュな状況を普通の血統より好む。それを考えれば、今回は最内枠のリスクを鮮度の高さで相殺し、イーブンな状況と感帰られる。

 ただ加点材料のないイーブンな状況では、10番人気くらいの超人気薄なら期待値的にまだしも、6番人気を敢えて本命にして予想で取りあげる必要もない。

 同馬には加点材料があったのだ。

 まず、前走が多頭数16頭立ての1400mだった点。今回は300m距離が延びる。小回りとはいえ、距離がかなり延びるので、ゼンノロブロイ産駒の弱点である慌ただしさ、揉まれるリスクはむしろ減る確率が高い。

 さらには、前走の新馬はレベルが高かった。別にレベルの高いレースで好走することがプラスになるわけでもなく、むしろマイナス評価になることの方が多いのが、Mの本質だが、ゼンノロブロイ産駒はL系だ。

 L系は基本的に強い相手に弱く、弱い相手に強い。C系の逆である。そのため、単純に相手弱化は嬉しい。また、前走が半年前の話なので、強いメンバー相手に4着に好走したところで、それが心身に与えるダメージも、ほとんど現在は残っていない。

 休み明けで、ローカルメンバー相手の距離延長。如何にもL系が好きな状況が揃っている。

 また強引に捲ったり、先行したりが得意なのが、パワーのあるタイプの量系の特徴で、ゼンノロブロイ産駒はこのパワー型の量系に分類される。そういうタイプは小回りのローカルコースも、過度に揉まれなかったり、相手弱化だと、むしろ強引に自分の競馬、パワーで押し通せる分だけ、プラスに働く確率が高まるのだ。

 ということで、本命にした。

 もう一頭、このレースのキーになる馬が、ダイワメジャー産駒の人気馬ゴールデンソウルだった。

 彼の判断は案外難しい。同馬は逃げ馬で、今回は距離延長。2走前には前半35.3秒の速い流れを逃げて好走しているようにスピードがあるので、延長なら小回りでも、無理せず先行出来る可能性が高い。そうなると「先行馬の距離延長」という、Mでは順ショックという、プラスショックになる。

 ただ一つ、気になることがあった。それは4走前からずっと中3週以内で、しかもここ2走は3着と好走している点である。

 ダイワメジャー産駒最大の弱点である、蓄積疲労の問題が出てくる。その問題は、前走で既に出ていた。前走は3着好走後の中1週。疲れやすいダイワメジャー産駒には、超危ないパターンだ。

 実際、レースでも2走前の35.3秒より1秒以上遅い36.8秒で逃げられたのに、結局3着に敗れてしまった。2走前より楽な展開だったのに、結果は同じ。明らかに2走前より前走はパフォーマンスが落ちている。

 これこそが、ダイワメジャー産駒の疲れだ。

 ただ、ここでまた新たな問題が出てくる。前走の1番人気のときは疲れで、危ない人気馬で良いとして、問題は今回だ。

 前走が疲れによってパフォーマンスを落として凡走して、力を出し切らなかったぶん、今回は疲れが抜けている可能性があるのだ。しかも、今回は中3週と少しだけ間隔も開いている。

 このように、疲れに関しては強弱入り乱れ、その中でやや疲れのウェイトの方が高いと判断し、4番手評価が妥当と判断した。

 結果、レースでは逃げられなかったこともあり、7着凡走。ダイワメジャー産駒の同馬を3番手以内に挙げないことによって、3連単460倍を1点目で当てられたという結果に終わった。

 このようにダイワメジャー産駒とゼンノロブロイ産駒は、精神状態と疲れのバランスを考慮に入れながら、馬券を組み立てていくと、美味しい馬券に巡り会える可能性が高まるので、是非皆さんも参考にして頂きたい。

※M3タイプ
L(淡泊さ)
淡泊さを持つ馬。自分のペースで淡々と走ろうとするタイプの馬で、距離の延長や少頭数、広いコース、外枠、弱い相手との競馬が有効。Lの由来は「Light」の頭文字から。

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※正誤表が競馬王ブログに掲載されています。

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ストレス、ショック療法など、競走馬の心身構造を馬券にする「Mの法則」を発見し、従来の競馬常識を完全に覆した。現在は、競馬雑誌等で活躍中のほか、馬券研究会「Mの会」を主催し、毎週予想情報の提供を行なっている。主な著書に「短縮ショッカー」、「ウマゲノム版種牡馬辞典」、「ポケット版 大穴血統辞典」などがある。

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