カルストンライトオの53秒7に続いて、53秒8、53秒9、54秒0。似たようなタイムが並んでいるのが、歴代の勝ち馬の記録である。3cmの微差[タイムなら0、00001秒くらいの差か]でも、同着ではなく、徹底的な写真判定で、時間をかけてその差を明確にしようとする日本の競馬なのに、時計の差はあくまで、40〜50年前と同様の0秒1単位を踏襲している。
国際レースでは、各国の53秒49などの記録を、慣例通り、100分の1単位はみんな切り捨てて53秒4と表記することにしてしまうのが日本の公式記録のあり方だから、時計に対する考え方は、もう、あまりに古すぎるかもしれない。
2000mの1分58秒0と、1分58秒1には、多くの場合さして大きな差はないだろうが、直線1000mのレースをむかえるたびに、考えてしまう。53秒99の勝ち馬と、54秒01の差は微差なのに、公式記録は0秒1差となり、53秒00と、53秒09は実際は決定的な差なのに、公式記録は同じ53秒0なのである。これはまずい。
知られるように、ここまでは、ただ飛ばしたのでは速いタイムは記録されにくく、カルストンライトオの記録[21秒8-10秒2-21秒7]=53秒7や、2011年のこのレースで記録された53秒8[21秒8-10秒5-21秒5]が示す絶妙のバランスが、もっとも高速時計に結び付きやすいと考えることが多かった。
しかし、10年のケイティラブは最初の2ハロンを21秒5で飛ばして、53秒9で押し切っている。カルストンライトオから、もう10年もたって、芝はさらに整備されている。昨年のハクサンムーンは、21秒5で飛ばしたからパドトロワに差されて、54秒5=[21秒5-10秒6-22秒4]に止まったのではなく、3歳のあの時点ではパワー不足だっただけで、行く気になれば未勝利馬でも可能な前半21秒5など、あれでいいのではないかと考えたほうがいいのだろう。
もう1頭、同じ4歳馬のリトルゲルダは、3歳の昨年、わずか3戦目の条件戦で、ハクサンムーンと互角の54秒4を記録している。
これが難しいことに、推定バランスは[22秒5-10秒3-21秒6]という、ハクサンムーンとそっくり前後半を逆にしたバランスなのである。
さすがに最初の推定22秒5は控えすぎで、一連のレースから、21秒9ぐらいは楽に踏めるラップだろう。そうなると、昨年記録した上がり31秒9は怪しいかもしれないが、この馬、パワー強化を考えると、54秒4の持ち時計をコンマ5秒くらいは楽に短縮できる気がする。実際には、1000mでコンマ2-3秒の短縮は大変なのだが、3戦目の54秒4にこだわりたい。
リトルゲルダ=ハクサンムーンの組み合わせを本線にしたい。
3番手は、村田騎手でフルにスピード能力発揮が期待できそうなファルブラヴの牝馬フォーエバーマーク。以下、スギノエンデバー、アフォード、パドトロワ、プリンセスメモリーが押さえ。