スマートフォン版へ

藤沢流フィニッシュに込められた意味とは?/吉田竜作マル秘週報

  • 2013年07月31日(水) 18時00分
 今夏の小倉は滞在馬の頭数が極端に少なく(24日時点で40頭)、見どころに乏しい?出張になると思っていたら、POG記者としては実に大きな収穫があった。藤沢和キュウ舎の管理馬ダノンゴールド(KBC杯勝ち)が滞在していたため、じっくり取材ができたことだ。関西の記者にとってはそうある機会ではないので「藤沢和流の併せ馬」の話を松本助手にいろいろ聞いてみた。

 まず1週間の基本的な調教の流れは「火曜に15−15よりもちょっと強いくらいに乗って、水曜に本追い切り。次の日の木曜も馬場には出ますし、レース前日にも大きめのところを乗る時があります。基本的には馬場に出て乗りますね」。

 これは記者が懇意にしている松田博キュウ舎と同じ。同キュウ舎も「馬は毎日乗って鍛えないと」という松田博調教師のポリシーのもと、これによく似たパターンで1週間の調教が行われている。もちろん調教に“正解”はないのだが、東西の名門にこうした「共通点」があるのは興味深い。

 藤沢和キュウ舎の併せ馬の代名詞にもなっている、鼻面を並べるフィニッシュにも突っ込んでみた。一部では「(併入にこだわる余り)負荷が軽くなる」という評価も聞くが、「そんなことはないですよ。基本的に1週間ずっと乗るわけですから、乗り方次第で負荷は十分かけられます」と松本助手は一笑に付した。

 ではあの鼻面を並べるゴールはどういった意味が込められているのか?

「馬の気持ちを大事にしているんだと思います。走る方に気持ちが向くよう、走ろうという気持ちになるようにああいった併せ馬をしている。だから極端に遅れたりすると怒られるんですよ。先着した馬はいいかもしれませんが、遅れた馬にとってはつらい思いしか残りませんからね」

 馬の実績や能力はそれぞれ異なるだけに「すべて同じ」とはいかないもの。馬主へのアピールという意味でぶっちぎりを“演出”するような併せ馬も少なくない。しかし藤沢和キュウ舎はそうしたことはせずに、それぞれ等しくチャンスを与え、馬にレースへの意欲を植え付けているのだ。そうしたトレーナーの意識はスタッフ一人ひとりの自覚も促している。

「調教はずっとVTRで撮っているんですよ。終わってから北村(宏)さんがそれを見ながら、いろいろとレクチャーしていく。スタッフにとってはこれが本当に勉強になるんです」

 確かに管理馬の質は高い。しかし、それだけでリーディングの上位常連にはなり得ない。こうした質の高い積み重ねが、藤沢和キュウ舎の真骨頂…。今回の取材を通じてそう感じた。現2歳世代も、すでに函館でサトノフェラーリ(牡)が新馬勝ちを収め好調なスタートを切った。来年もクラシック戦線をにぎわすのは間違いなかろう。

 さて開催2週目の小倉は日曜(8月4日)芝1800メートル新馬戦に注目。「まだ兄のテイエムイナズマ(GII・デイリー杯2歳S勝ち)と比べるのはかわいそう」と以前、花田助手が評していたテイエムモンスター(牡=父タイキシャトル、母クラスター・福島)が、先週水曜(24日)の栗東坂路で4ハロン52.7−12.4秒の好時計をマークした。

「半信半疑で乗ったんですが、ちょっとびっくりしました。併せ馬で後ろからつついてもらったら置き去りにしてしまって…。予想外でしたね」

 ここにきてガラッと変わってきたようだ。他にも好メンバーが顔を揃えそうなレースだが、これなら兄に恥じない走りを見せてくれるだろう。

※本日は『トレセン発秘話』も更新されております。下部のバックナンバーからご覧ください。

今日の東京スポーツ一面

今日の東京スポーツ一面

東京スポーツ 今日の紙面
全柔連「反体制派」が上村会長を提訴へ
・平岡祐太の恋人・大石絵理に“3股疑惑”
・毒ギョーザ裁判を日本に公開した中国政府の狙い
・移籍の駆け引きに宗教を利用したサッカー選手
・土屋アンナ怒らせた舞台監督のウソ
・日テレの「セクハラアンケート」に管理職おびえる

ブランケット版による大型紙面が大迫力となって読者の目を射る。夕刊時間帯による海外ゴルフ等の速報。未来の情報エリアをリードする総合スポーツ・レジャー紙は東京スポーツ、大阪スポーツ、中京スポーツ、九州スポーツの日本列島縦断の4社体制。特に東京、大阪、中京の3紙は、同時印刷を行っている。メイン紙面は東京制作であるが各紙各々地域に密着した紙面も制作している。九州のみ朝刊として発行、独特な紙面づくりを行っている。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

2010年に創刊50周年を迎えた夕刊紙。競馬確定面「競馬トウスポ」(大阪スポーツは「競馬大スポ」、中京スポーツは「競馬中京スポ」)は便利な抜き取り16ページで、中身は東スポグループだからこその超充実ぶり。開催3場の全36レース(2場開催の場合は全24レース)の馬柱を完全掲載しています。

関東・舘林勲、大阪・松浪大樹の本紙予想のほか、記者による好評コラム(「一撃・山河浩、馬匠・渡辺薫など)、そして競馬評論家・井崎脩五郎、爆笑問題の田中裕二、IK血統研など超豪華執筆陣の記事も読みごたえたっぷり。馬券作戦に役立つ情報が満載です。

関連サイト:競馬トウスポWeb

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング