今夏の小倉は滞在馬の頭数が極端に少なく(24日時点で40頭)、見どころに乏しい?出張になると思っていたら、POG記者としては実に大きな収穫があった。藤沢和キュウ舎の管理馬ダノンゴールド(KBC杯勝ち)が滞在していたため、じっくり取材ができたことだ。関西の記者にとってはそうある機会ではないので「藤沢和流の併せ馬」の話を松本助手にいろいろ聞いてみた。
まず1週間の基本的な調教の流れは「火曜に15−15よりもちょっと強いくらいに乗って、水曜に本追い切り。次の日の木曜も馬場には出ますし、レース前日にも大きめのところを乗る時があります。基本的には馬場に出て乗りますね」。
これは記者が懇意にしている松田博キュウ舎と同じ。同キュウ舎も「馬は毎日乗って鍛えないと」という松田博調教師のポリシーのもと、これによく似たパターンで1週間の調教が行われている。もちろん調教に“正解”はないのだが、東西の名門にこうした「共通点」があるのは興味深い。
藤沢和キュウ舎の併せ馬の代名詞にもなっている、鼻面を並べるフィニッシュにも突っ込んでみた。一部では「(併入にこだわる余り)負荷が軽くなる」という評価も聞くが、「そんなことはないですよ。基本的に1週間ずっと乗るわけですから、乗り方次第で負荷は十分かけられます」と松本助手は一笑に付した。
ではあの鼻面を並べるゴールはどういった意味が込められているのか?
「馬の気持ちを大事にしているんだと思います。走る方に気持ちが向くよう、走ろうという気持ちになるようにああいった併せ馬をしている。だから極端に遅れたりすると怒られるんですよ。先着した馬はいいかもしれませんが、遅れた馬にとってはつらい思いしか残りませんからね」
馬の実績や能力はそれぞれ異なるだけに「すべて同じ」とはいかないもの。馬主へのアピールという意味でぶっちぎりを“演出”するような併せ馬も少なくない。しかし藤沢和キュウ舎はそうしたことはせずに、それぞれ等しくチャンスを与え、馬にレースへの意欲を植え付けているのだ。そうしたトレーナーの意識はスタッフ一人ひとりの自覚も促している。
「調教はずっとVTRで撮っているんですよ。終わってから北村(宏)さんがそれを見ながら、いろいろとレクチャーしていく。スタッフにとってはこれが本当に勉強になるんです」
確かに管理馬の質は高い。しかし、それだけでリーディングの上位常連にはなり得ない。こうした質の高い積み重ねが、藤沢和キュウ舎の真骨頂…。今回の取材を通じてそう感じた。現2歳世代も、すでに函館でサトノフェラーリ(牡)が新馬勝ちを収め好調なスタートを切った。来年もクラシック戦線をにぎわすのは間違いなかろう。
さて開催2週目の小倉は日曜(8月4日)芝1800メートル新馬戦に注目。「まだ兄のテイエムイナズマ(GII・デイリー杯2歳S勝ち)と比べるのはかわいそう」と以前、花田助手が評していたテイエムモンスター(牡=父タイキシャトル、母クラスター・福島)が、先週水曜(24日)の栗東坂路で4ハロン52.7−12.4秒の好時計をマークした。
「半信半疑で乗ったんですが、ちょっとびっくりしました。併せ馬で後ろからつついてもらったら置き去りにしてしまって…。予想外でしたね」
ここにきてガラッと変わってきたようだ。他にも好メンバーが顔を揃えそうなレースだが、これなら兄に恥じない走りを見せてくれるだろう。
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