夏の小倉はとにかく暑い。「朝晩に風があるだけ栗東よりマシだよ」とは坂口調教師だが、現地関係者によれば「ちょっと記憶にないくらい暑いですね」。記者は夏の小倉開催には毎年のように出張しており、生まれも九州なので暑さには慣れているはずなのだが、それでも耐えがたい。経費の問題や自ブロック制度の影響もあるのだろうが、この暑さも小倉競馬場の滞在馬が減っている要因の一つになっているのかも…。
人間でもかなりこたえるのだから暑さに弱いサラブレッドはなおさら。先週の小倉記念で滞在したマイネルラクリマ(結果は惜しくも3着)の平田助手は移動式のミスト噴霧器を美浦から持参。さらには「目隠しと日よけのために、ホームセンターでヨシズを買ってきた」と独自の避暑対策を取っていた。
競馬に夏休みがない以上、人も馬も暑さとはうまくやっていくほかないのだが、ベストはやはり「涼しいところでの放牧」。特に体力をつけ、馬体をつくっていく時期にある2歳馬にとって、夏の過ごし方は大事になってくる。
“避暑”を早くから決め込んでいたのがサウンズオブアース(牡=父ネオユニヴァース、母ファーストバイオリン)の藤岡健調教師。6月初旬に栗東入りし、ゲート練習を兼ねてトレーニングしていたが、トレーナーは「ゲートを受かったらすぐに放牧に出すよ。秋の阪神開催くらいから王道を進ませたい」と当初から“夏休み”の青写真を描いていた。
で、ゲート試験をパスすると、予定通り山元トレセンへ放牧。栗東滞在はほんの短い期間だったとはいえ、師はかなりの手応えをつかんだようだ。
「もう1頭一緒に入厩していた2歳馬の方がいいかなと思っていたけど、やっぱりこの馬の方がいいな。まだ子供っぽいが動きが柔らかいし、走ってくると思う」
ちなみにこれは記者が“取材”で引っ張りだしたというよりは、藤岡師自らが記者に対して話してくれたもの。自信のほどがうかがい知れる。
一方、西園厩舎のエースと目されるエイシンアロンジー(牡=父Sea The Stars、母Ice Mint)も暑い季節を嫌って岡山の久世育成センターに放牧に出されたクチ。「秋に栗東に返して、一番メンバーの揃う新馬戦に使いたい」と西園調教師の鼻息は荒い。
ただ「牧場でかわいがられていたこともあってかわがまま」という評価も耳にしていたので、この放牧がマイナスにならないか? 気になったので、調教をつけていた田中助手に直撃してみると、「もう大丈夫。だいぶしつけたからね。一度教えればのみ込んでくれるし、もともとは素直な子だから。今なら牧場に返しても問題ない」との答え。これなら放牧先で順調にトレーニングに励めるのでは。
先週の新馬戦では評判を集めていた馬が軒並み敗れたが、大事なのは最初の一歩より、むしろその後の調整。夏の暑さを乗り越え、たくましさを身につけるか。それとも立て直して秋に備えるか。一方で夏を避暑地でトレーニングに充てている馬が早期デビューの素質馬たちを追い抜いていくのか。ちょっと早いが、秋や冬の2歳戦線を想像して、せめて頭だけでも冷却? 暑い夏場を乗り切りたい。
※本日は『トレセン発秘話』も更新されております。下部のバックナンバーからご覧ください。

今日の東京スポーツ一面
▼
東京スポーツ 今日の紙面・
飛鳥 チャゲと殴り合い一部始終・“新帝王”トム・ワトソンが松山を絶賛
・山本太郎氏が警戒する「犯罪の罠」
・熊切あさ美“崖っぷちアイドル”卒業宣言の裏
・ゲイAV主演消防士の悲惨な現状
・紅白歌謡曲枠に割って入る!?リアルあまちゃん歌手
ブランケット版による大型紙面が大迫力となって読者の目を射る。夕刊時間帯による海外ゴルフ等の速報。未来の情報エリアをリードする総合スポーツ・レジャー紙は東京スポーツ、大阪スポーツ、中京スポーツ、九州スポーツの日本列島縦断の4社体制。特に東京、大阪、中京の3紙は、同時印刷を行っている。メイン紙面は東京制作であるが各紙各々地域に密着した紙面も制作している。九州のみ朝刊として発行、独特な紙面づくりを行っている。