10日に行われた2歳オープンのフェニックス賞(小倉芝1200メートル)はわずか7頭立て。しかも勝ち上がっていた馬はうち2頭。それも1頭は九州産限定の新馬勝ち馬カシノタロン(牝・梅内)、もう1頭が連闘での出走となったクーファナイン(牝・山内)では、お世辞にも高いレベルとは言い難い一戦だった(勝ったのは後者)。
とはいえ、そんな地味なレース?の裏にも明と暗を分けるターニングポイントがあったりするものだ。
フェニックス賞は特別登録の段階で12頭がエントリー。その中に名を連ねた1頭オウノミチ(牡・佐々木)は4日の未勝利戦に出走した馬だった。
「新馬戦(2着)で強い馬相手によく粘ってくれたので、次は何とかなるんじゃないかと。このレースを勝って一度栗東に帰るつもりでした」(担当の野口助手)
いわば確勝を期しての出走だったわけだが、結果はクーファナインを捕らえ切れず。これが力を出し切っての2着敗戦なら悔いはなかったろう。が、直線で馬群をさばくのに骨を折るなど、お世辞にもスムーズなレースとは言えないもの。野口助手いわく「向正面と4コーナーで手綱を引っ張る場面が…。あれでは勝てるものも勝てない」。
対照的だったのはこの未勝利戦を制したクーファナイン。スタートから楽に先手を取ると、スイスイと逃げ切り勝ちを決めた。この2頭、レースぶりだけでなく、フェニックス賞への登録過程もまた対照的だったのだ。
前述通りオウノミチ陣営は当初「未勝利戦を勝って帰る」予定だったが、「頭数の少なさを見て急きょ先生がフェニックス賞に登録。そのまま小倉滞在になったんです」(野口助手)。一方のクーファナイン陣営は「もともと(勝って)滞在して連闘でフェニックス賞に使うつもりだった」(河村助手)。
アテが外れて急きょ予定を変えた馬と、あらかじめ連闘を予定していた馬では、やはり用意周到だった方に運も向くもの。クーファナインは小倉滞在期間も順調に調整が進んだが、オウノミチはレースを使ってからソエが出て、中間は脚元のケアに追われることに…。
「出馬投票のリミットとなる木曜午後ギリギリまで様子を見ます。投票しなかったら、レースに使えない状態だと思ってください」(野口助手)と神にも祈るような表情だったが、出馬表にオウノミチの名が載ることはなかった。
未勝利戦の結果について、2頭の白黒をつけたのは「運」だったのかもしれない。ただ、仮に2頭がフェニックス賞で再び相対してもクーファナインの方が先着したのではないか。
「抜け出してから物見をしていたが、それだけ余裕があったということ。いいことじゃないか」と山内調教師。騎乗した藤岡康も「着差(1馬身3/4)以上の内容」と完勝をアピール。フェニックス賞に関しては何から何までクーファナインの方が青写真通りにいったということなのだろう。
対して未勝利を勝ち損ねた時点で運がなかったオウノミチだが、「この兄弟の中では一番母親に似ている。走ってくると思いますよ」と野口助手の評価は依然高い。ちなみに母のナゾは7歳時に準オープンを勝ち、オープン入りを果たしたオクテの血統だ。
今回は明暗ハッキリ分かれたが、まだまだ2歳戦は始まったばかり。これからも2頭の成長を見守っていきたい。
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