スマートフォン版へ

フェニックス賞の勝敗の分かれ目は前週の未勝利にあった/吉田竜作マル秘週報

  • 2013年08月14日(水) 18時00分
 10日に行われた2歳オープンのフェニックス賞(小倉芝1200メートル)はわずか7頭立て。しかも勝ち上がっていた馬はうち2頭。それも1頭は九州産限定の新馬勝ち馬カシノタロン(牝・梅内)、もう1頭が連闘での出走となったクーファナイン(牝・山内)では、お世辞にも高いレベルとは言い難い一戦だった(勝ったのは後者)。

 とはいえ、そんな地味なレース?の裏にも明と暗を分けるターニングポイントがあったりするものだ。

 フェニックス賞は特別登録の段階で12頭がエントリー。その中に名を連ねた1頭オウノミチ(牡・佐々木)は4日の未勝利戦に出走した馬だった。

「新馬戦(2着)で強い馬相手によく粘ってくれたので、次は何とかなるんじゃないかと。このレースを勝って一度栗東に帰るつもりでした」(担当の野口助手)

 いわば確勝を期しての出走だったわけだが、結果はクーファナインを捕らえ切れず。これが力を出し切っての2着敗戦なら悔いはなかったろう。が、直線で馬群をさばくのに骨を折るなど、お世辞にもスムーズなレースとは言えないもの。野口助手いわく「向正面と4コーナーで手綱を引っ張る場面が…。あれでは勝てるものも勝てない」。

 対照的だったのはこの未勝利戦を制したクーファナイン。スタートから楽に先手を取ると、スイスイと逃げ切り勝ちを決めた。この2頭、レースぶりだけでなく、フェニックス賞への登録過程もまた対照的だったのだ。

 前述通りオウノミチ陣営は当初「未勝利戦を勝って帰る」予定だったが、「頭数の少なさを見て急きょ先生がフェニックス賞に登録。そのまま小倉滞在になったんです」(野口助手)。一方のクーファナイン陣営は「もともと(勝って)滞在して連闘でフェニックス賞に使うつもりだった」(河村助手)。

 アテが外れて急きょ予定を変えた馬と、あらかじめ連闘を予定していた馬では、やはり用意周到だった方に運も向くもの。クーファナインは小倉滞在期間も順調に調整が進んだが、オウノミチはレースを使ってからソエが出て、中間は脚元のケアに追われることに…。

「出馬投票のリミットとなる木曜午後ギリギリまで様子を見ます。投票しなかったら、レースに使えない状態だと思ってください」(野口助手)と神にも祈るような表情だったが、出馬表にオウノミチの名が載ることはなかった。

 未勝利戦の結果について、2頭の白黒をつけたのは「運」だったのかもしれない。ただ、仮に2頭がフェニックス賞で再び相対してもクーファナインの方が先着したのではないか。

「抜け出してから物見をしていたが、それだけ余裕があったということ。いいことじゃないか」と山内調教師。騎乗した藤岡康も「着差(1馬身3/4)以上の内容」と完勝をアピール。フェニックス賞に関しては何から何までクーファナインの方が青写真通りにいったということなのだろう。

 対して未勝利を勝ち損ねた時点で運がなかったオウノミチだが、「この兄弟の中では一番母親に似ている。走ってくると思いますよ」と野口助手の評価は依然高い。ちなみに母のナゾは7歳時に準オープンを勝ち、オープン入りを果たしたオクテの血統だ。

 今回は明暗ハッキリ分かれたが、まだまだ2歳戦は始まったばかり。これからも2頭の成長を見守っていきたい。

※本日は『トレセン発秘話』も更新されております。下部のバックナンバーからご覧ください。

今日の東京スポーツ一面

今日の東京スポーツ一面

東京スポーツ 今日の紙面
【札幌記念】皐月賞馬ロゴタイプ「必勝の調教パターン」披露
【札幌記念】天皇賞馬トーセンジョーダン 9か月ぶりでも「いい状態」
【北九州記念】スギノエンデバー軽快
【北九州記念】マイネルエテルネル 坂路でパワフルな動き
キズナ 凱旋門賞へ向け21日に武豊を背に国内最終追い切り

ブランケット版による大型紙面が大迫力となって読者の目を射る。夕刊時間帯による海外ゴルフ等の速報。未来の情報エリアをリードする総合スポーツ・レジャー紙は東京スポーツ、大阪スポーツ、中京スポーツ、九州スポーツの日本列島縦断の4社体制。特に東京、大阪、中京の3紙は、同時印刷を行っている。メイン紙面は東京制作であるが各紙各々地域に密着した紙面も制作している。九州のみ朝刊として発行、独特な紙面づくりを行っている。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

2010年に創刊50周年を迎えた夕刊紙。競馬確定面「競馬トウスポ」(大阪スポーツは「競馬大スポ」、中京スポーツは「競馬中京スポ」)は便利な抜き取り16ページで、中身は東スポグループだからこその超充実ぶり。開催3場の全36レース(2場開催の場合は全24レース)の馬柱を完全掲載しています。

関東・舘林勲、大阪・松浪大樹の本紙予想のほか、記者による好評コラム(「一撃・山河浩、馬匠・渡辺薫など)、そして競馬評論家・井崎脩五郎、爆笑問題の田中裕二、IK血統研など超豪華執筆陣の記事も読みごたえたっぷり。馬券作戦に役立つ情報が満載です。

関連サイト:競馬トウスポWeb

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング