紫苑Sは毎年穴が出て、M的にも楽しみにしているレースの1つだ。
ただ、今年は思わぬ落とし穴があった。
M的馬券ポイントの1つに、鮮度馬が有利なレースかどうかを考え、有利だと判断した場合、鮮度馬の中でどの馬が上位に来られるか?を決めていく作業がある。
この精度が上がるようになると、グッと穴馬を見つけられる確率も上がってくるのだ。
紫苑Sの場合、小回り中山の2000m。しかも秋華賞へのステップになるので、ペースは自ずと厳しくなる。3歳牝馬にとっては、この急坂中山2000mのタイトな流れはかなりタフに感じるのだ。
馬はレースがタフに感じれば感じるほど、ストレスの影響を受けやすくなる。我慢しなければいけない場面で、ストレスのある馬は踏ん張りが利かなくなるのだ。ということで、紫苑Sはかなり鮮度が重要になる。
ところがどうだ?
今年は15頭中12頭が前走条件馬。しかも、前走オープンだった3頭は全て休み明け。つまり、みんなストレスの少ない鮮度馬だったのだ。
これは大変だ。しかし、だいたいが毎年、こんな感じの出走馬が揃うのが、実は紫苑Sである。だからこそ、面白いのである。
Mで一番技術が試されるのが、鮮度馬が来るレースと読めたときに、複数いる鮮度馬の中から、来る馬をピックアップする作業になる。
秋ではAR共和国杯、菊花賞などが、鮮度馬が来やすいレースの代表だ。だからこそ、ここでも何度か解説してきたように、実際に1、2点目で万馬券を当ててきたレースでもあるのだ。
この紫苑Sも、上記2レース同様、その技術が試されるレースというわけで、自ずとテンションが上がってくるのである。
15頭全てが鮮度馬として、果たしてどの馬を選ぶか。
この中で一頭だけストレスレベルが少し高い馬がいる。
1番人気マコトブリジャールだ。
前走が1000万1着。これは古馬にすると準OP1着ほどではないが、それに近いストレスレベルになる。
古馬におけるオープンへの格上げ戦では、準OP1着の後は心身疲労が出るので、少し注意しなければならないというのは、これまで再三書いてきたので、みなさん覚えているだろう。
1000万勝ちのストレスがあるところに、前走が9頭立てのスローを先行。今回15頭立ての多頭数で格上げ戦となれば、前走より先行馬にとって前半のペースが厳しくなる確率は90%以上になるだろう。前走より厳しい展開で心身疲労がある場合、好走する確率はかなり下がる。
馬は前走より辛く感じるか、楽に感じるかで、全く結果が異なる生き物だからだ。
他の馬は1000万を勝てずにいるので、彼女が1番人気になったわけだが、その人気になった理由で論理的に危なくなるのが、Mの面白さであり、穴を獲りやすい構造を本質的に持っているという所以でもある。
この中で最初に気になったのは、トーセンアルニカだ。
前走が500万で、しかも休み明けなら鮮度は申し分がない。
また前走始めて東京のスローということもあって先行したのだが、今回は多頭数中山で前走よりペースアップするのは間違いないので、無理に先行しないで馬の気のままに乗れば、本来の差す競馬に自然になる。
これは「自然な位置取りショック」と呼ばれるもので、比較的成功率の高い形だ。
ただ、気になる点が1つあった。
メイショウサムソン産駒という点である。
もちろんメイショウサムソン産駒が弱いとか強いとかではなく、その性質が問題になってくる。まだメイショウサムソンについては詳しくやっていなかったので、次回はその続きから書いていくことにしよう。
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※正誤表が
競馬王ブログに掲載されています。