ローズSと秋華賞の強力な結びつきと同様、このトライアルと本番の菊花賞は、ほとんどセットにしてビッグレースのストックブックに収めないと意味が薄れるほど、強く連結している。
神戸新聞杯の最近10年の上位3着以内馬に限ってさえ、ゼンノロブロイ、ネオユニヴァース、キングカメハメハ、ハーツクライからはじまって、ディープインパクト、ドリームジャーニーをはさみ、近年はエイシンフラッシュ、ローズキングダム、オルフェーヴル、ゴールドシップなど、名馬名鑑に名を連ねる逸材のオンパレードである。
今年のメンバーは、この時点ではエピファネイア(父シンボリクリスエス・母シーザリオ)以外、まだ無名にも近い存在だが、やがては名馬辞典に名を連ねるような存在になって不思議のなくなるはずの、チャンスあふれるレースに果敢に挑戦してきた候補たちである。
エピファネイアの優秀性はすでに十分に示されている。3連勝でラジオNIKKEI杯を制し、皐月賞は1分58秒1。日本ダービーは2分24秒4で乗り切っている。数字だけなら2冠馬であっても不思議ないが、今年に入ってからの3戦はすべて(0秒1差)だけ負けているところが、泣きたいような死角。道中で行きたがって自らロスを受け入れたり、大跳びのフットワークを生かし切れない不器用な一面が出ている。ダービーでも折り合いもう一歩、それが勝ったキズナとの差だったかもしれないほどである。勝負強くもない。
あの不本意なレース運びで2分24秒4。キズナとの差は半馬身。
今回の組み合わせなら、同様のレースを再現するだけで、勝ち負け必至。テーマは、このあとの本番3000mを考えたときに、ロスなく能力を発揮するための道中の折り合い不安を解消すること。直前の追い切りでは舌を縛ることによって、行きたがる気性を封じることに成功したとも伝えられるが、今後のビッグレースを考えれば、とりあえずの処方であり、それで今後の折り合い不安解消とはいかない。今回は行きたがる馬にとって難しい休み明けではあるが、なんとかこの課題はクリアしたい。トライアルの仕上げであっても、ライバルとてそれは同じ。菊花賞当確と思えるようなレースを期待したい。トライアルは必死で勝ちに出るレースではないが、エピファネイアは目下3連敗中だけに、負け方によっては、本番への自信がぐらつきかねない。
ここまでクラシックに縁の薄いシンボリクリスエス産駒だが、エピファネイアがここを勝つと、同じシンボリクリスエス産駒で、母の父スペシャルウィークまで同じユールシンギングとともに菊花賞で勝ち負けを争う可能性は、凱旋門賞のオルフェーヴルとキズナが揃ってゴールを迎える公算より、だいぶ大きいと思える。
相手本線は、直前の追い切りの良さを評価して、ダービーを0秒4差の6着しているテイエムイナズマと、ソエ良化のサトノノブレス。伏兵には、同じシンボリクリスエス産駒のソロル、ともに復活気配をみせているミヤジタイガ、アクションスター。この伏兵3頭はぜひ買いたい。万全を期しての押さえが、ラストインパクトと、ヒルノドンカルロ。