来る10月7日(月)より開催が予定されている「オータムセール」の最終的な上場頭数がこのほど確定した。当歳馬65頭、1歳馬737頭の計802頭である。
昨年までオータムセールは4日間の日程で行われていたが、今年は上場申し込み頭数が少なく、その結果、開催日数も1日減の3日間に短縮されることになった。
オータムセールの会場風景(写真は2011年度のもの)
当歳はともかく、1歳馬の頭数は、昨年よりもかなり少ない。昨年は892頭の上場予定馬がいたのだから、今年はざっと150頭もの減少になる。昨年の場合、価格は安くとも数だけは売れて、売却率は52.9%に達していた。ここを狙って1歳馬を買い求める購買者が少なくないことを物語る数字だが、今年は上場頭数そのものが大きく減少することから、平均価格の上昇を期待する生産者も多い。品薄感が市場の雰囲気を押し上げてくれるのではないか、という声も聞こえてくる。
名簿上で737頭ということは、昨年並みの欠場馬がいるとすれば、実際の上場頭数は650〜660頭程度になりそうだ。目ぼしい上場馬が争奪戦となるのならば良いのだが、果たしてどんな結果が出るものやら。
開催時期は昨年よりも1週間早まった。北海道の場合、戸外で活動するのに適した時期はだいたい10月中旬までになる。それを過ぎ10月下旬以降になると、日中はともかくも朝晩は著しく気温が低下し、どうかすると雪が降ってきたりもする。また日没も急激に早まる。10月上旬の開催に移行したのは悪くない判断だと思う。
7日はまず当歳市場を開催し、続けて1歳馬市場となる。1歳市場は前半と後半に分かれ、7日と8日は「新規申込馬」431頭が、9日はサマーセールからの再申込上場馬306頭が、それぞれ登場することになる。
種牡馬別では、サムライハートとフォーティナイナーズサンが、それぞれ24頭と最も多く、ファルブラヴの21頭、ソングオブウインドの19頭と続いている。10頭以上の上場馬を拾っていくと、アサクサデンエン14頭、アドマイヤオーラ10頭、ヴァーミリアン18頭、オンファイア14頭、カンパニー13頭、グラスワンダー11頭、スウィフトカレント12頭、スウェプトオーヴァーボード11頭、スタチューオブリバティ10頭、タイキシャトル16頭、タイムパラドックス11頭、タニノギムレット13頭、チチカステナンゴ14頭、ディープスカイ11頭、バゴ12頭、ファスリエフ16頭、ブラックタイド18頭、マヤノトップガン11頭、メイショウサムソン10頭、メイショウボーラー13頭といったところが二桁である。
余談になるが、ただいま2歳のリーディングサイアーランキングでトップに立つヨハネスブルグ産駒は、さすがにオータムセールには上場されないようだ。だいいち生産頭数が極端に減少しており、本邦初年度産駒の現2歳世代の大活躍に切歯扼腕する生産者が多いだろうと思われる。「こんなに走ると分かっていたなら付けておくべきだった」という声をよく耳にする。
今年デビューした初年度産駒が好調のヨハネスブルグ
それにしても、ヨハネスブルグ自身の競走成績が2歳時に特化していたのと同様に、我が国での現2歳世代の成績もまた素晴らしい。中央地方を含めた総合成績では目下ディープインパクトを抑えて首位に君臨しており、45頭が132回出走し、そのうち20頭が22勝を挙げて1億6993万円を稼いでいる。中央に限定しても、30頭が76回出走し、11頭が13勝を挙げ、1億5510万円の賞金を獲得している。
ただ2位のディープインパクトや3位のキングカメハメハなどとは僅差なので、順位は変動する可能性があるとはいえ、この活躍ぶりは多くの関係者にとっては「想定外」だったのではなかろうか。
それが証拠に、ヨハネスブルグ産駒は、昨年オータムセールで8頭が上場され5頭が落札されたが、最高価格は315万円、平均は176万円に過ぎなかった。5頭の合計額はわずか882万円と極めて評価が低かった。
因みに今年はセレクションセールに1頭、サマーセールに3頭が上場されており、いずれも落札されている。もっとも本邦供用後2年目の産駒である現1歳馬から頭数が激減しているため、市場に出てくる産駒数そのものが極端に少ないのだが。今やヨハネスブルグ産駒はかなりの希少価値となっているのである。
なお日高軽種馬農協発行の「2013年生産、当歳馬名簿」には日高管内のヨハネスブルグ産駒はわずか10頭にとどまり、うち牡は3頭しかいない。何とも皮肉な好成績と言う他なく、来年もし市場にヨハネスブルグ産駒が登場したらかなりの注目馬になるはずだ。
それにしても、JBBAの種牡馬は、エンパイアメーカーは別格として、これまで初年度にかなりの配合頭数が集中しながら、2年目以降はガクンと減る傾向が顕著であった。ヨハネスブルグなどはその典型例で、初年度産駒に勝負をかける生産者が多かったのだが、こうして大ブレイクしてしまうと臍を噛むことになる。つくづく種牡馬の世界は予測が難しいことを改めて痛感させられる。