レベルの高い長距離戦こそ時計/アルゼンチン共和国杯
東京コースの長距離戦は、本当のスタミナや底力が問われることが珍しくないから、ランキングや格付けより、「レベルの高い長距離戦こそ時計」の金言が当てはまるとされている。持ちタイムに注目。
たとえば、2400mの「日本ダービー」を最速の2分23秒3で快勝したのは、2004年のキングカメハメハと、2005年のディープインパクトである。
同距離の「オークス」を史上最高の2分23秒6で独走したのはジェンティルドンナ(父ディープインパクト)である。快記録に2回も関係するディープインパクトに土をつけたのは、東京2400mの「ジャパンC」を惜しいところで負けはしたものの、日本馬として史上最高タイムの2分22秒1を持つハーツクライだった。
東京の2500mを2分29秒台(2400mなら2分23秒台に相当)で乗り切った記録をもつ馬は非常に少ない。東京のGIに2500mはないから、ペースが緩むためだろう。
GII「アルゼンチン共和国杯」のレコードは、2分29秒9。昨2012年、今年も人気で出走する現5歳ルルーシュが樹立している。
同じくGII「目黒記念」のレコードは、2分29秒6。これはコースレコードでもあり、今春、ムスカテールが記録している。
ルルーシュがアルゼンチン共和国杯を制したときに、0秒2差の2着だったのがムスカテールであり、そのムスカテールが目黒記念を勝ったときに、やっぱり0秒2差の2着だったのがルルーシュ。斤量はルルーシュのほうが2回とも1キロ重かったが、ムスカテールの勝ったときのほうが時計は速かったから、この2頭ちょうどいい勝負の1勝1敗。今回が3度目の対決。同じ57.5キロのトップハンデとなった。
東京コースの長距離戦は、レベルが高くなるほど時計は速くなる。今年のレベルは非常に高い可能性が大きく、ハンデ戦なので波乱含みではあっても、時計の裏づけを持つルルーシュ、ムスカテールがそろって凡走はないと考えたい。
マヤノトップガン産駒らしくちょっと遅咲きで、5歳の今春になって目黒記念をレコード勝ちしてみせたムスカテールから入りたい。前回のオールカマーは、猛暑の夏からの休養明けで明らかに本調子手前。動けなかったのは力関係ではなく、体調だった。今回は入念に乗って一変、ここで結果を出してジャパンC挑戦も展望している。
ルルーシュとはほぼ能力互角とするとき、おそらく流れに乗って早め早めの好位追走となるのはルルーシュだろう。差し切った目黒記念と同様、これをマークして進むのがムスカテール。紛れを呼ぶスローペースの組み合わせではないと思えるから、標準を前方に定めながら追撃できるムスカテールは有利だ。
当然、相手筆頭はルルーシュ。天皇賞(秋)をジャスタウェイが勝ち、初のGI馬を送って勢いに乗るハーツクライ産駒のアドマイヤラクティと、メイショウナルト、そして母の父に典型的ドイツ血統のアカテナンゴを持つエックスマークが3番手候補。コスモロビン、ホッコーブレーヴが連の押さえ。