京成杯AHはテーマ性がはっきりしたレースである。言うまでもなく、そのテーマとは「スピード」だ。中山開幕週は、いまほど馬場管理が進んでいなかった時代でもレコードタイムの宝庫であった。
そこで今回は、野蛮な話だがコース差は無視して「時計の出た芝マイル戦」を分析してみることにした。
1分32秒5以下の決着となった芝マイル戦はこれまで22レースあるのだが、その内容を見ると、脚質面からいくつかの点に気づく。
まず、さすがに逃げた馬がそのまま押し切って1着ということはない。2頭雁行も含めた逃げ馬25頭の成績は(0-4-0-21)となっている。
2着4頭のうち2頭はNZトロフィーのサーガノヴェルと東京新聞杯のローエングリンでともに1番人気。残り2頭は対照的に人気薄で、関屋記念のクリスザブレイヴとミデオンビットである。しかし、後者は新潟でのことであり、坂コースでの逃げ残りは至難であろう。
しかし、いわゆる「ハイペースの差し」が簡単に決まるかというと、これが意外とそうでもない。先行した馬と差しに回った馬を比べると、連対率でも複勝回収率でも先行タイプが大きく上回っている。
一方、前走での位置取り(脚質)を見てみると、「前走逃げ」は連対率・複勝回収率とも全カテゴリの中でトップとなっており、しかも時計が早くなるほど強いという傾向がある。
つまり、「逃げようと思えば逃げるくらいの速さはあるけど、控えても競馬ができる」というタイプが理想ということだ。
注意しなくてはならないのが、脚質と関係なく前走芝1200m組は成績がいまひとつということだ。スピードに偏りすぎているということでもあるのだろう。豊栄特別のドリームカムカム、NZトロフィーのタイキリオンと稀に単穴をあける馬もいるのだが、コンスタントに期待するのは難しいだろう。