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netkeiba

理想は「敢えて逃げない先行馬」

  • 2003年09月08日(月) 13時06分
 京成杯AHはテーマ性がはっきりしたレースである。言うまでもなく、そのテーマとは「スピード」だ。中山開幕週は、いまほど馬場管理が進んでいなかった時代でもレコードタイムの宝庫であった。

 そこで今回は、野蛮な話だがコース差は無視して「時計の出た芝マイル戦」を分析してみることにした。

 1分32秒5以下の決着となった芝マイル戦はこれまで22レースあるのだが、その内容を見ると、脚質面からいくつかの点に気づく。

 まず、さすがに逃げた馬がそのまま押し切って1着ということはない。2頭雁行も含めた逃げ馬25頭の成績は(0-4-0-21)となっている。

 2着4頭のうち2頭はNZトロフィーのサーガノヴェルと東京新聞杯のローエングリンでともに1番人気。残り2頭は対照的に人気薄で、関屋記念のクリスザブレイヴとミデオンビットである。しかし、後者は新潟でのことであり、坂コースでの逃げ残りは至難であろう。

 しかし、いわゆる「ハイペースの差し」が簡単に決まるかというと、これが意外とそうでもない。先行した馬と差しに回った馬を比べると、連対率でも複勝回収率でも先行タイプが大きく上回っている。

 一方、前走での位置取り(脚質)を見てみると、「前走逃げ」は連対率・複勝回収率とも全カテゴリの中でトップとなっており、しかも時計が早くなるほど強いという傾向がある。

 つまり、「逃げようと思えば逃げるくらいの速さはあるけど、控えても競馬ができる」というタイプが理想ということだ。

 注意しなくてはならないのが、脚質と関係なく前走芝1200m組は成績がいまひとつということだ。スピードに偏りすぎているということでもあるのだろう。豊栄特別のドリームカムカム、NZトロフィーのタイキリオンと稀に単穴をあける馬もいるのだが、コンスタントに期待するのは難しいだろう。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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