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JCダート、前哨戦みやこSのレースレベルは…

  • 2013年11月29日(金) 18時00分


◆みやこSの結果をどう取るか

 今年のJCダートは、みやこSの1,2着馬がともにダートGI初出走というところにポイントがあるのではと思う。

 JCダートが阪神に移ってから、ステップレースであるみやこSはかなり機能している。しかし、東京時代には武蔵野S組の成績が芳しくなかった。「結局GI常連組のほうがレベルが高い・層が厚いのでは」という想像力は、あと数年の間持っておくべきだろう。

 ブライトラインはダートに転じてから成績に疵がないので重視する人がいてもおかしくはないが、エルムSで負けている馬が今回それなりに人気というのは、オッズ的にはおいしくないようにも思う。実際にオッズが出てからの判断になる。

 もうひとつ、みやこSはレースレベル自体が高くない可能性がある。勝ち馬に罪はないが、インカンテーションが2着、ナイスミーチューグランドシチーが差し届かず4,5着というのは「いかにもGIII」という結果。GIは本来もっと高いレベルで戦われるものだ。

 そんな中、59キロを背負っていた2頭、特に3着だったローマンレジェンドはある程度エクスキューズがきくが、グレープブランデーのほうはさすがに負けすぎの印象がある。実績馬の復活というのはダートGIの穴パターンではあるが、最終追い切りでもカレンケカリーナにアオられていたし、もう少し時間がかかるかもしれない。

◆文句なしなのは当然この馬

 ダートGI常連組で、成績という観点から文句なしなのはホッコータルマエだ。敢えてマイナス材料を挙げるなら、中央のダートより地方のダートに良績が多いということだろうが、アンタレスSの内容を見ても、少なくともみやこS組以上の能力はあるはずだ。

 前にいける脚質、しかも前走のようにハナに行くことも辞さない脚質というのもプラス。昨年のローマンレジェンドは位置取りが消極的になって伸びきれなかったが、この馬が中団になることは考えづらいだろう。

 ワンダーアキュートは7歳秋だが相変わらず安定味を発揮している。GI実績組ということでは2番手か3番手に挙げるべき存在だ。ただ、タイプ的に勝ち切るというよりは3連複の軸だろう。

 JBCクラシック組はアドマイヤスバルやメイショウトウコンのように、JBC3着→JCダートで人気薄好走というパターンもあるので、ソリタリーキングまで注目しておきたい。こちにも勝ち切る形は想定せず、3連単なら3着に押さえればいいだろう。

 エスポワールシチーは元気なところを見せている。昨年大敗しているので本命というわけにはいかないが、GIで4連続連対中という点は評価しなくてはならない。速すぎないペースでトータルの時計もそれなり、かつ上がりも速くなりすぎないという微妙なサジ加減が要求されるが、この馬は展開を作れる立場でもある。

 他に上位人気と言うとベルシャザールだが、みやこS組に対し懐疑的になりつつこちらを推すというのは理論構成上無理がある。それよりは間隔が開いていてもニホンピロアワーズの実績を買いたい。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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