一戦一戦が勝負やね!
落馬直後に騎乗した、期待の1頭サトノルパン(3着)。小牧騎手とはお馴染みの母エリモピクシーの男馬です。今回は、この馬の今後に向けての手応えをはじめ、ツルマルスピリット、グレイスフルリープへの悩ましい思いや、自身でワーストに挙げたペンタトニックでのレースぶりを振り返ります。
(取材・文/不破由妃子)
■ピークトラム…好きなんやけどなぁ──先日の落馬直後に騎乗されたサトノルパン(11月9日・京都5R・2歳新馬・芝1600m)。3着でしたが、最後はすごい脚でしたね。
小牧 そうそう、あの馬に乗りたかったのもあって、あそこで(騎乗を)止めんと乗ったんですわ。ちょっと直線で詰まったね。勝った馬は強かったけど、あれがなければ2着はあった。競馬を覚えさせたら、あの馬は走ってくるよ。
──上(リディル、クラレント、レッドアリオン)と比べてどうですか?
小牧 ちょっとタイプが違うね。ディープインパクトが出ているのか、クラレントやレッドアリオンなんかと比べるとこじんまりしているというか、コロンとした馬やね。調教も2回乗ったけど、反応がいいよ。
──今年の2歳のなかでは、手応えを感じていらっしゃる?
小牧 そうやね。次は阪神の1600mを使う予定で、また乗せてもらえるみたいやから楽しみやね。最近は、すぐに乗せ替えられてしまうから、ホンマに一戦一戦が勝負やね。2歳といえば、ピークトラムも好きなんやけどなぁ…。
──ああ、京都2歳Sはルメール騎手に…(4着)。
小牧 まぁ(短期免許の)外国人ジョッキーやから、また乗せてもらえるチャンスはあるんじゃないかと思っているけど…。関西はホンマに(外国人ジョッキーが)多いわ(苦笑)。最近ちょっと乗り数も減ってるし。(落馬の)痛みがあるうちはちょうどよかったんやけど、それにしてもちょっと少ないなぁと思って。やる気満々なんやけどね。頑張らんといかんね。
──ほかではツルマルスピリットが、相変わらず小牧さんを悩ませているなぁと(10月27日・京都9R・北國新聞杯2着/11月17日・京都8R・3歳上1000万5着。12月7日の中京10R・浜名湖特別に登録)。北國新聞杯のあとは、「馬が嫌々走っているような」とコメントされてましたね。
小牧 うん、おとなしくなりすぎてるね。レース慣れしすぎて。
──ずるくなっている?
小牧 うん、そう。この前、5着だったときも、完璧に乗ったつもりなんやけどね。その前の2着は、ようきたなと思ったけど。なんせ、いつも1番人気でしょう。もう人気を見るのがつらいねん(笑)。
もう人気を見るのがつらいねん(笑)
──グレイスフルリープもいつも人気ですが、1600万に上がってからは、厳しい結果がが続いていますね(10月27日・西陣S5着、11月17日・貴船S15着)。
小牧 ああ、ちょっと距離を延ばしたいですね。1800mでもいいくらい。ひとつクラスが上がったら、こんなに違うもんかなと。なんせ行かれへんもんね。今度は1400mを使うみたいやけど、あの馬はすぐに折り合いがつくので、1800mでもいいんやけどね。そのほうがレースはしやすくなると思うんやけど。
──やはり、前に行く競馬が理想ですものね。
小牧 うん、怖がりなんでね。揉まれたりするのが良くないので。力負けでは決してないからね。
──ほかで印象的なレース、馬というと?
小牧 大久保龍志厩舎の新馬から人気しているペンタソニック(新馬4着、未勝利3着)やね。ポップロックの下で、走ってきそうなんやけど、あの馬は僕が下手に乗ってる。2走とも位置取りが悪くなってしまってね。これはアカンなと思いながら。もうちょっと積極的に乗っていかんとアカンね。
──最後はいい脚で伸びてきますからね。
小牧 そう。いつでもチャンスなんやけど、とにかく下手に乗ってるわ。レースが終わったあとは「なにをしてんねやろ…」って、自分で自分が情けなくなる。レース中、この馬の後ろをついていったらいい位置が取れるな…とか考えるんやけど、その勘が外れたりね。もちろん大事なことなんやけど、その考えに捕らわれていたらアカンなと思ってね。
──次は京都の2000mをビュイック騎手で使いますね(11月23日・4着)。
小牧 そうやね。また乗せてもらえることがあったら、もっと積極的に行こうと思ってるんやけどね。もう帰ってけえへんかなぁ(苦笑)。
【次回の太論は?】
11月の初旬に相次いだホースマンの訃報。次回は、先日亡くなった増本豊調教師、笠松の濱口楠彦騎手との思い出を語るほか、小牧騎手とのコンビで重賞3勝をマークし、先日種牡馬入りが決まったシルポートについて、当日を振り返ります。