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朝日杯FS、マイナス材料の少ない馬は

  • 2013年12月13日(金) 18時00分


◆プラス材料ばかりではない有力馬。その中でマイナス材料が少ない馬は…

 牡馬の重賞勝ち馬がいないと話題になっているが、それ以外も含めて出走する牡馬の実績馬が明らかに不足している。それだけにベルカントに期待する人も多いだろう。

 この異例のローテが成功するのかどうかは、無責任なようだがやってみないと分からない。そこを断定するのが競馬評論家の仕事だと思っている人もいるようだが、競馬というのは事前に知りえない部分が大きいからこそ成り立つものだ。「来る」「来ない」と言えば事後にはどちらかが当たるのだが、それは結果論的な世界でもある。

 客観的な指標として2歳秋競馬の重賞で牡馬と牝馬が戦ったケースの成績を見てみると、牝馬全体では明らかに牡馬に対し劣っている。一方で1〜5番人気に支持された馬については十分戦えているので、ベルカントの挑戦が全く無謀とは言えないだろう。

 ただ個人的には、データというよりも馬の個性の面で上位のシルシまでは回しづらいと考えている。距離延長には不安のある血統だし、気性を考えるとなおさらだ。今回はすごい枠を引いてしまったので行くしかないだろうが、他の馬の出方次第では大きな負荷がかかる可能性もある。

 もっとも今回は他の有力馬もプラス材料ばかりではない。プレイアンドリアルは南関転入緒戦。BRFグループと河津厩舎の連係は経験も実績もあるが、馬にしてみれば環境が変わって最初のレース。ある程度のリスクは存在する。枠ももう少しでいいから内寄りが欲しかった。

 アトムは今回のメンバーの中ではマイナス材料の少ない馬だ。前走重賞人気サイドかつ好走という存在は、今年の出走馬の中では貴重である。枠も良いし、直線うまく捌ければチャンスはあるように思える。唯一引っかかるのはこのレースでサンデーサイレンス系の好走が少ないことで、「SSの中のSS」とも言えるディープインパクト産駒であることがどういう結果に繋がるか。

 個人的に痛いのはウインフルブルームショウナンワダチが揃って外枠を引いたことだ。朝日杯で前走500万条件組が好走する場合、それは「前走も芝1600mで、かつ特別戦」であることが多い。それでもさすがにこの枠からだと苦しいか……特にウインフルブルームは脚質的にももっと内が良かったし、競合する馬が内を引いているのでレースの進め方が難しくなった。

 京成杯組はたまに穴をあけて長期の回収率が整うというグループなのだが、今年は1〜3着馬が不在。幸い(?)4着のマイネルディアベルが鞍上にデムーロを得たので、穴候補として期待したい。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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