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イメージ以上に難しい今年の有馬記念

  • 2013年12月20日(金) 18時00分


◆最有力はやはりオルフェーヴル

 エイシンフラッシュまで回避となり、ますますメンバーレベルは下がっている今年の有馬記念。実績上位のオルフェーヴルやゴールドシップも大ポカの過去があり、イメージ以上に予想は難しい。さらに水から木とかなりの雨が降ったので、「どこまで乾くのか」「土曜にどの程度荒れるのか」という要素も入ってきた。

 中山は以前に比べて馬場を柔らかく作っているが、一方でエクイターフの範囲も広がり、理屈上は「柔らかいが荒れにくい」ということになる。ただ、ある騎手に聞いたところでは「3〜4角が走りづらく、ノメりやすい」とのことで、その状態が最終週も続くとしたら、そこでギアを上げる馬が罠にはまることもありそうだ。

 オルフェーヴルはこのメンバーでは負けられない一戦となる。ただ、最終追い切りは正直物足りなかった。坂路のオープンと同時に入り、前の馬を強く追いかけたにも関わらず、時計は馬なり単走のカレンミロティックとほぼ同じ。ラスト2ハロン→1ハロンで0.6秒遅くなるパターンもこの馬としては珍しい。

 ただ、本調子でなかったとしても勝ち負けできそうなメンバーなのは確かだし、前に壁を作りやすい枠に入ったのもラッキー。状況がどうあれ最有力なのは確かだ。

 ゴールドシップは1週前追い切りが散々だったが、最終追い切りはコースに切り替え、ブリンカーも着用してよく動いた。ただ、ここ2走あれだけ動かなかった馬がブリンカーと乗り替わりだけで劇的に変わるかどうかは微妙。「大敗しても人気はたいして落ちない」という馬券的においしくない状況であり、ギャンブルという観点から積極的に取りたい選択肢ではない。

 JC組はトーセンジョーダンが最先着馬、次がアドマイヤラクティということになる。ただ前者はさすかに大外枠は痛い。そう考えると中山で2勝・3着1回のアドマイヤラクティのほうが上か。ただ、初めてキレを見せた前走のような競馬が毎回できるかどうかはやってみないと分からない。

 天皇賞秋からここというローテになるのがダノンバラードヴェルデグリーン。ダノンバラードは右にもたれる馬だし、1番枠は絶好だ。ただディープ産駒でありながら全くキレ味はない馬なので、上がりがかかることは必要。前をつつくか自分で逃げるかして、早くからレースを動かしていくことが望ましい。消耗戦になれば、うまく立ち回ってジェンティルドンナを抑えた宝塚記念の再現もある。

 ヴェルデグリーンは脚質を考えるとこの1枠2番は良し悪しか。ただこのコースにおける内枠そのものはプラス材料なので、3-4角での捌きに賭けるしかない。それに成功すれば、田辺騎手はひとつ上のステージに上がれる。

 金鯱賞からは1-3着馬が出走。カレンミロティックは状態そのものは明らかに良い、自分の形に持ち込めるかどうかが全ての馬なので、展開次第だろう。馬場は硬くなければダメということはないが、普通の良馬場程度にはなってほしいところだ。

 今回は逃げ馬不在ということも話題になっているが、逃げる馬がいないという時ほど意外な馬が逃げてくるもの。人気薄の中から積極策に出る馬がいると勝手に予想している。エイシンフラッシュがいなくなったことで、スロー希望の有力馬はほとんどいなくなった。誰かが逃げて一定以上の流れになったほうが、多くの出走馬にとって勝っても負けても納得のいく結末になるのではないだろうか。


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次回の更新は、年明けの1/4(土)になります。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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