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シンザン記念とロードカナロア引退式

  • 2014年01月15日(水) 18時00分
シンザン記念の口取り写真

シンザン記念の口取り風景




◆ミスシンザンへの帯同など恒例のシンザン記念出張

 去る10日(金)の夕刻から13日(月)まで出張していた。恒例のシンザン記念に毎年派遣している浦河選出の「ミスシンザン」たちに帯同して京都まで行っていた。

 今年は総勢9人もの大人数となった。ミスシンザン2人は例年と同じだが、京都競馬場で浦河町の物産展を開催することになり、町役場から水産商工観光課の職員が課長以下3人同行したためである。

 折からちょうど日本列島は強い寒気団にすっぽりと包まれており、千歳空港もかなり気温が低下していた。幸い欠航することなく出発できたが、この時期は油断できない。

 金曜日のうちに大阪まで移動し、日付が変わる直前にホテルに到着した。それから街に繰り出してB級グルメを食べ歩き、ホテルに帰って床に就いたのは午前2時。初日の夜からこんなにも体に悪いことをしていては、先が思いやられる。

 翌11日は午前中から競馬場入りし、あいさつ回りや日刊スポーツ社(シンザン記念の社杯を出している)の取材を受けたり(これはミスシンザンだけだが)、翌日の物産展の告知をすべくビラ配りなどをする他はひたすら馬券三昧の一日となる。しかし、9人揃って、全員討ち死に状態であった。

 本番は12日(日曜日)だ。この日も第1レース前から競馬場入りした。私たちは毎年ゴンドラ席を用意して頂いているが、7階にあるこのフロアは、馬券売り場もまるで銀行のカウンターのようだ。女性従事員たちがそこに詰めており、すべて「対面式」でやりとりする。しかもガラスなど遮るものは一切ない。マークシートであっても口頭であっても同じように直接会話を交わして購入するシステムだ。余談だが、あまりにも少額馬券では恥ずかしいような気持にさえなる。そしてそれが結果的にさらなる墓穴を掘ることとなった。

 この日は以前のようにテレビ出演こそないものの、ミスたちは割に忙しい。ラジオ出演もあれば、日刊スポーツ社主催のイベントに出たり、落ち着いている暇がない。毎年彼女たちはシンザン記念の“予想”をさせられるが、そこは地元浦河町産馬を応援するのが定番で、今年はカシノヒカルを押した。カシノヒカルは父グラスワンダー産駒の牡馬で荻伏三好ファーム生産。しかし、今年は何といってもミッキーアイルの人気がダントツで、やや開いてウインフルプルーム、モーリスあたりが支持を集めている。シンザン三冠達成50周年だというのに、今年に限ると浦河産馬は“不作”の年であった。

シンザン記念を制したのはミッキーアイル

シンザン記念を制したのはノーザンファーム生産のミッキーアイル



 レースは予想通り、ミッキーアイルが先手を奪うとそのまま逃げ切り、ウインフルブルームが半馬身迫ったところがゴールであった。直線で良く追い込んだタガノグランパが3着で入線し、固く収まった。単勝は160円。ミッキーアイルは周知の通り、2012年のセレクトセールにて7600万円で取引されたディープインパクトの牡馬で、音無厩舎所属。浜中俊騎手が騎乗。馬主は野田みづき氏。生産はノーザンファーム。

 表彰式ではミスシンザンの小野寺真悠さんと佐藤由香利さんがやや緊張した面持ちながら、無事に大役を務めた。

ミスシンザンの小野寺真悠さん

ミスシンザンの小野寺真悠さん


ミスシンザンの佐藤由香利さん

ミスシンザンの佐藤由香利さん



 その翌日13日(月)には、京都競馬場にてロードカナロアの引退式が昼休みに行われた。土曜日以来、京都は天候に恵まれたものの、気温が低く、馬場の埒沿いに立っていると寒風が辛いほど。北海道に比べたらもちろん10度くらいは高い気温だが、普段とは異なり背広姿だから寒さが堪えた。

 カナロアは第4レースの頃にパドックに現れ、しばらく周回した後、本馬場には11時50分くらいに誘導馬を先頭に姿を見せた。多くのファンが見守る中、主戦の岩田康成騎手を背にしてゆっくりと4コーナーまで進み、そこからUターンして直線をキャンターで駆け抜けた。何せ、先月に香港で圧勝劇を演じてきたばかりだから、どこも悪くない。これで引退してしまうのがもったいないくらいの馬体であった。

ロードカナロアのキャンター

直線をキャンターで駆け抜けたロードカナロア



 その後、ウイナーズサークルで馬主(ロードホースクラブ)、調教師、騎手、厩務員、生産牧場などの関係者が一列に並び、花束が手渡され、一人ずつインタビューされた後、クラブを代表して中村伊三美氏がマイクの前に立ち、お礼の言葉で締めくくった。

クラブを代表して中村伊三美氏がお礼の言葉で締めくくった

クラブを代表して中村伊三美氏がマイクの前に立ち、お礼の言葉で締めくくった



 報道によれば今年の種付け料は500万円という。オルフェーヴルが600万円だから、かなりの高評価と言って良い。繋養先は社台スタリオンで、来る2月11日に予定されている種牡馬展示会では改めて生産地の関係者の前にお披露目されることになる。

ロードカナロアの引退式記念撮影

ロードカナロアの引退式記念撮影



 ところで、13日のフェアリーSで、すでに今年は4つの重賞を消化したことになるが、5日の金杯は東西いずれも社台ファームの生産馬が制し、シンザン記念は前述の通りノーザンファーム、そして中山のフェアリーSもまた社台ファーム生産馬のオメガハートロックが優勝した。今週末は日経新春杯と京成杯だが、そろそろ日高産馬の巻き返しに期待したいところだ。


※次回の更新は筆者取材のため、1月23日(木)18時の公開となります。予めご了承くださいますようお願いいたします。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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