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netkeiba

「一瞬」を漫然と見ることなく、後悔のないように

  • 2014年01月16日(木) 12時00分


◆一戦一戦をどう戦っているか

 目の前の一瞬、一瞬が再び巡ってくることもあれば、そうでないこともある。期待が大きいときほど、幸運を願い、その一瞬が自分にとって有効であってほしいと思う。だが、何事にも終りがあり、いつまでも続くことはない。次に、また幸運を願っている。こんな繰り返しを続けるうちに、そこから問いかけてくるものの深さを知る。普段、漫然と見ていたことを悔いるばかりなのだ。大袈裟ではなく、このとき一期一会に思いが及ぶ。一度かぎりのそのときをどれだけ大切にしているか。世の中の全ては常に変化し、一時もとどまることはない。だからこそ、その接し方が大切で、いつも悔いのないようにしていきたいと思うようになるのだ。

 こうしたことは、競馬の中にも潜んでいる。目の前の一瞬が、稀に、二度、三度と辿ってくる馬がいる。幸運と呼ぶのではなく、持って生まれた資質を見せているのだが、これがどこまで続くか、この先のことは分からない。シンザン記念を勝って3連勝したミッキーアイルは、今回もいいスタートが切れ、ケレン味なく逃げ切って他馬を寄せつけなかった。ひと休みして、この先どんな春の舞台を描いていくか。その一瞬が再び巡ってくるか、そうであれば大歓迎なのだ。この階段をいくつ上っていけるか。敗れたウインフルブルームは、当然、漫然と戦ったのではないから、次は違う筈だ。

 なにかを乗り越え、幸運をつかんだもの同士が戦うクラシックレース。全てがその場に立ちたいと願っている。京成杯は、マイル戦から皐月賞と同じ条件の2000mに延長されてから、クラシックを意識させる一戦になった。その最初の年に勝ったオースミブライトは、朝日杯10着、ラジオたんぱ杯3着の苦杯を糧にし。末脚だけに頼らないレースをと鍛錬に励んでいた。そして、皐月賞はテイエムオペラオーの2着、一戦一戦をどう戦っているかに思いが及べば、見えてくるものもあるということではないか。

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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