◆今年も止まらない54歳川原正一騎手の勢い
前回の「表彰馬」に続いて、今回はNARグランプリ2013の「表彰者」について。
今回の受賞者でまず何がスゴイといって、昨年54歳になった川原正一騎手(兵庫)の最優秀勝利回数騎手賞だろう。年間267勝は、38年の騎手生活で自身最多。全国リーディングももちろん初めてのことだ。同じ兵庫では、田中学騎手が228勝、木村健騎手が225勝で、それぞれ全国で3、4位と、勝ち星を分け合う状況での全国トップということもすばらしい。昨年の川原騎手は、スーパージョッキーズトライアルで優勝してのワールドスーパージョッキーズシリーズ出場という勢いもあった。その勢いは年が明けても続いていて、園田競馬場で年明け(1月3日)に行われた重賞・新春賞をニシノイーグルで連覇を果たしたのに続き、1月22日の園田クイーンセレクションもトーコーニーケで制した。勢いはまだまだ止まらない。
戸崎圭太騎手がJRAに移籍し、南関東の頂点には誰が?という答えは、やはり大井の御神本訓史騎手だった。勝利数では川原騎手に14勝及ばず全国2位だったが、川島正行厩舎の有力馬にも騎乗が多く、賞金のタイトルを獲得。南関東は他地区に比べて賞金が高く、南関東の賞金リーディングが全国でもトップに立つのはある意味当然のこと。しかし現在、地方競馬の騎手は所属に関係なく、重賞であればすべての地方競馬場で騎乗が可能となり、たとえば吉原寛人騎手などのように、期間限定騎乗だけでなく南関東の重賞でたびたび騎乗する機会があるような騎手なら、今後は南関東以外の騎手でも賞金でトップに立つ可能性はある。
勝率のタイトルは、これまで赤岡修次騎手の2位が続いていた佐賀の山口勲騎手が初受賞。
騎手の勝利回数、賞金、勝率のタイトルは3名ともに今回が初受賞だが、対照的に調教師は3名ともがリピーターだった。
勝利回数の雑賀正光調教師(高知)は3年連続。昨年の241勝は、地方歴代最多記録となった一昨年より49勝少なかったが、2位の角田輝也調教師に72もの大差をつけるダントツの数字だった。
賞金では、昨年はダートグレードのタイトルこそなかったものの、やはりこの人、川島正行調教師(船橋)が受賞。
勝率は、兵庫の柏原誠路調教師が2年ぶり2度目の受賞。地方のみの勝率では、過去にこのタイトルを2度受賞している川西毅調教師(愛知)がトップだったが、その川西調教師は中央でのわずか1戦0勝という数字を加えた勝率は35.41%で、柏原調教師の35.44%にわずか0.03%だけ及ばないという僅差で明暗が分かれた。
優秀新人騎手賞は、大井の笹川翼騎手。4月にデビューしたばかりの騎手が、激戦区南関東で挙げた43勝という数字はすばらしい。年が明けてからも好調で、1月20日には通算50勝に達し、1年経たずして早くも減量の☆を卒業した(実際に☆がなくなるのは2月3日の大井開催から)。
優秀女性騎手賞は、高知の別府真衣騎手が3年ぶり6度目の受賞。3年ぶりとなったのは、2011年から2012年にかけての約1年間、韓国で騎乗していたため。デビュー以来、1年を通して日本で騎乗していた年は、もれなく年間50勝以上を挙げ、そして同賞を受賞している。昨年末までで地方通算448勝。目標とする宮下瞳元騎手の女性騎手による地方最多勝記録626勝の更新も現実的な数字として見えてきた。