ダービー最大の惑星馬になる!? あのファーガソンがいよいよデビュー/吉田竜作マル秘週報
◆寺島助手は「やっぱりすごい馬です」と興奮気味だった。ただ、よくよく聞くと…
次開催(中山、阪神)からクラシック第1弾となる桜花賞&皐月賞のトライアルシーズンに突入する。素質はありながらも未勝利でまだくすぶっている馬や、体質が弱くて仕上げに手間取っている未デビューの馬には今週あたりが“締め切りギリギリ”。無事に勝ち上がって「トライアル→本番」といきたいところ。それだけに、ここにきての雪の影響による開催順延や新馬戦の除外ラッシュは気をもむ要素。前者は天災だけにどうしようもないが、後者は関係者の努力でもう少し緩和できそうなことだけに…。
「関東は毎年同じ時期に同じような状況に陥っとるやんか。もう少し違うことをして、改善しようとはならんのか」とは栗東の某調教師。美浦には美浦の事情もあるのだろうが、新馬戦の除外ラッシュに関しては、何か一石を投じるようなアクションを起こしてほしいものだ。
3歳世代が好調な松田国厩舎にも切羽詰まった状況の馬がいる。ファーガソン(牡=父マンハッタンカフェ、母シェアエレガンス)は全兄に天皇賞(春)馬ヒルノダムールがいる血統馬。早くから松田国調教師も素質の高さにお墨付きを与えており、POGで上位指名した記者もいたほどだ。
昨夏に入厩し、ゲート試験をパス。放牧を挟んだ秋口に予定していたデビューのまさに直前で挫石のため放牧へ。これが尾を引いてなかなか栗東に戻れずにいた。
その後に、この馬の動向を聞けたのは、暮れの阪神競馬場で取材していた際。「僕が担当しているんですが、走ってきそうなんですよね。挫石もそこまで深刻なものではなかったし、もう少ししたら帰ってくると思います。楽しみにしていてください」(寺島助手)
それから1か月ほどしてファーガソンは帰厩。先々週、栗東の事務所で寺島助手に会った際には「やっぱりすごい馬です」と興奮気味だった。ただ、よくよく聞くと、“すごい”には2つの意味があり「フィジカルは半端ないっす。でも気性も良くない(苦笑い)」。
後日、番頭格の松田助手にも聞いたところ、「なんと言えばいいのか…本当に悪いんですよ。ダメな気性の馬っているじゃないですか。○○(馬名は伏せるが、有名な血統馬)みたいに、もうおかしいんですよね。嫌がり方のしぐさとかが普通じゃないんです」。
もっとも、この世界で言われるのは「中途半端に賢いのが一番厄介。すごく頭がいいか、すごくバカか。それくらいの方が馬は走る」。最近の例で言えば、若い時のオルフェーヴルが当てはまろうか。ファーガソンの素材の良さは松田国調教師を筆頭に誰もが認めるところ。あとは破天荒な性格がレースに行っての“爆発力”につながることを願うだけだ。
注目の初陣は日曜(23日)東京の芝1800メートル新馬戦を予定。まずは「除外との闘い」が待っているが、無事に突破してスタートラインに立てるようなら…。皐月賞、ダービーの最大の惑星馬になるかもしれない。
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