共同通信杯の展望は
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◆「両雄並び立たず」の傾向が強い GIに昇格して今年で18回目になる。とくに最近10年くらいは、ダート分野の充実は素晴らしく、あの年はあまり好カードではなかったかもしれない、などということはめったにない。また今年も重量級のたくましいメンバーが揃った。
事前の水木検量によると、500キロ以上の馬体重を誇る馬が11頭もいる。530キロ以上馬が7頭もふくまれて、全16頭の馬体重平均は、約522キロに達している。当日は少しずつ減るとしても、おそらく馬体重平均は、510キロ台ではないかと思われる。バカバカしい、およそ意味のない数字だから計算した酔狂な人物はいないだろうが、ひょっとするとこれは日本記録かもしれない。
意味のありそうなデータは、GIに昇格して17回、1番人気馬の成績は、【8-1-1-7】。勝率.471は、全22のGIレース中、日本ダービーについで2番目に高いこと。芝のマイルの安田記念こそ、1番人気馬の3着以内率が22レース中でもっとも低いが、マイル戦は総じてチャンピオンは崩れないからである。
ただ、両雄並び立たずが当てはまるのか、2番人気で勝った馬は17年でたった1頭だけ。
東京のマイル戦は、他場より総合能力が求められる厳しいレースになる結果、1800m、2000mくらいでも好成績を残していないと厳しい。という金言があるが、それがダート1600mとなると、もっと顕著な傾向になる。最近10年の連対馬20頭は、前2戦でどんなレースに出走していたか。距離1800m-2100mのジャパンCダート、2000mの東京大賞典、2100mの川崎記念。この3つのGIに、前2走のうち少なくとも1回は出走していた馬が、全20頭中の「18頭」を占めている。残る2頭は、直前の東京ダート1400mの根岸Sをきちっと勝った馬だった。
もちろん、こんな杓子定規のパターンが今年も当てはまることはないだろうが、これに該当するのは、1番
ゴールスキー、4番
ワンダーアキュート、7番
ニホンピロアワーズ、8番
グランドシチー、11番
ベルシャザール、12番
ブライトライン、15番
ホッコータルマエ。この7頭になる。
なんだ、人気馬ばかりじゃないかなどと考えてはいけない。前2戦でポイントになる重要レースに出走していたから、それだけで人気になるのではなく、多角度から有力候補をピックアップすると、それは総合能力を求められる近年の連対馬の出走パターンと一致してしまうということである。この7頭以外の9頭の快走もなしとは決してできないが、パターンに当てはまっていない馬同士の組み合わせだけは、さすがに可能性が乏しいだろう。
◆強気のスパートで押し切りたい 条件を満たしている馬の中で、追い比べで見劣りそうなイメージのあるニホンピロアワーズを重視したい。
好位でスパートのタイミングを見計らうことが多いこの馬、1700m-1800mで8勝。残る4勝を1900m-2500mで記録しているが、同じホワイトマズル産駒で、配合形まで似ているシルポートと同じようなダンシングブレーヴ系と思える。さして距離に不安はないから、2000m級をがんばっているが、1600mの方がさらに秘めるスピード能力が生かせるのではないか、という意味である。逃げても、差しても、多分に一本調子がこの父系の最大特徴。先々週の3歳バンドワゴンがそうだった。好位差しがもっとも合わない特徴を持っているのである。
内田騎手の
エーシントップ陣営が逃げ宣言をしている。平均ペースで正攻法の逃げと思える。ついて行けばいい。スパートのタイミングは迷う必要もない。いつもより距離短縮のマイル戦のダートである。果敢に攻めた結果、鈍ってしまえば差し込まれるだろうが、待っていて、追い比べでこそのベルシャザールなどに並ばれては、もっと勝ち目はない。1600mなら簡単には止まらないと信じて、酒井騎手に積極果敢に、強気にスパートしてもらおう。
1800mのジャパンCダートを1分48秒8で、ワンダーアキュート以下に3馬身半差の圧勝を決めたときと同じように、あるいは59キロを背負いながら、57キロのホッコータルマエと互角だった13年のアンタレスSをイメージしたい。昨秋の体調不振時からは完全に立ち直っている。
前出馬が相手になるのは当然だが、東京のマイルこそベストの
アドマイヤロイヤルと、案外マイペースになりそうなエーシントップは買いたい。エーシントップも一本調子。だから、バラバラの成績だが、一定ペースのマイルは合うはずである。