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キングカメハメハからクラシック優勝馬は誕生するか

  • 2014年03月07日(金) 12時00分


◆弥生賞の人気薄では好調ネオユニヴァース産駒・イタリアンネオに注目

 関東は水曜日に雨が降り、翌日は北風が吹いて真冬に逆戻りした。3月に入って啓蟄を迎えたとはいえ、冬ごもりの虫がはい出てくる気配はない。中山の芝もまだ冬眠状態だろう。今週の弥生賞が良馬場でも、依然としてパワーが要求される。

 1番人気が予想されるトゥザワールドは、父がダート界に君臨するキングカメハメハ、母がダートのドバイワールドCで2着した名牝トゥザヴィクトリー。配合的に力のいる芝は向く。全兄のトゥザグローリーも1〜2月の日経新春杯、京都記念を勝ち、暮れの有馬記念3着2回の実績が示すとおり、冬場の荒れた馬場は得意だ。

 ただキングカメハメハの牡馬はまだクラシックの優勝馬が出ていない。強調できるのはローズキングダム(日本ダービー2着、菊花賞2着)ぐらいのもの。他ではコディーノが皐月賞3着、ベルシャザールが日本ダービー3着の実績を残しているが、思ったほどクラシックで信頼できる血統ではない。

 さらにキングカメハメハの牡馬は、皐月賞トライアルの弥生賞、スプリングSの勝ち馬どころか、2着馬も出てない。昨年、コディーノが弥生賞で3着に入ったのが最高着順である。そのあたりをどう考えるかだが、ここまで3連勝。血統背景は文句なく、力のいる馬場も大丈夫とあれば、やはり馬券はこの馬からと考えている。

 目標は次の皐月賞だし、賞金的にも足りている。目一杯に仕上げてくることはないだろうが、たとえ8分の仕上げでもトライアルで勝ち負けするぐらいでないと、本番は望み薄だ。もし3着以下に負けるようなら、クラシック戦線でキングカメハメハの牡馬はもう信用しない。

 人気薄の馬で血統的に食指が動くのはイタリアンネオだ。父のネオユニヴァースは冬将軍で、2月のJRA重賞(芝)を、デスペラード、フォーエバーモアの2頭が勝った。母の父エルコンドルパサーも凱旋門賞2着が示すとり、力のいる馬場は得意とする。実績では見劣るが、未知の可能性に期待したい。

血統評論家。月刊誌、週刊誌の記者を経てフリーに。著書「競馬の血統学〜サラブレッドの進化と限界」で1998年JRA馬事文化賞を受賞。「最強の血統学」、「競馬の血統学2〜母のちから」、「サラブレッド血統事典」など著書多数。

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