◆完全に内田騎手向き 3年前から新しいコースとなった中京2000mは、この中日新聞杯も、暮れに組まれていた金鯱賞も愛知杯も、ファンだけでなく、まだ騎手にとってもペース判断、仕掛けどころが難しいようなところがある。
12年末の愛知杯は「64秒5-59秒1」の超のつくスローなのに縦長の隊列になり、スタート直後の1-2番手の馬がなんの苦もなくそのままゴールした。そうかと思えば、同じ12年の中日新聞杯は、「62秒6-59秒6」のスローなのに上位を占めたのはみんな差し=追い込み馬だった。まだピッチの上がる場所が決まっていない印象がある。京都の外回りを上回る約412mの最後の直線。そこに坂があるから、直線に向くまで待っていいときもあれば、3コーナーからのロングスパートもありなのである。
ハンデ接近の中日新聞杯は、昨13年も「60秒2-59秒4」という落ち着いた流れなのに、差し馬のレースだった。牝馬同士の愛知杯や、別定戦の金鯱賞とちがって、スローなら軽量馬などが早めに動くため、かえって追い込みが決まるのだろう。
ロングスパートも利きそうな伏兵
エックスマークを狙いたい。新中京になってから、距離2000mで断然の良績を残すのはディープインパクト産駒という心強い記録もある。
エックスマーク(父ディープインパクト)がしだいしだいにパワーアップし、オープンに出世したのは3走前の中山2000m(1600万特別)、内田博幸騎手がテン乗りになったレース。前半60秒9(後半59秒5)のスローで、後半ペースアップすると反応が鈍いように映ったが、追って追って追いまくって、最後は前にいた2頭の間をこじあけるように伸びて差し切った。完全に内田騎手向きである。今回が2度目の騎乗。力負けしてしまえば仕方がないが、特徴を分かっているだけに、たとえ前半スローでも55キロのハンデなら脚を余す心配はない。今秋は3頭併せで力強く動いた。
ドイツ生まれの母ショアー(その父アカテナンゴ)は知られているわけではないが、その半弟シロッコ(父モンズーン)は日本のファンに良く知られている。2006年の秋、ディープインパクト(1番人気)が挑戦した凱旋門賞で2番人気だったのが、独ダービーのほか、BCターフ(米)やコロネーションC(英)などを制し、前年の凱旋門賞4着、欧州のチャンピオン格だったシロッコ(途中から主戦はスミヨン騎手)である。結果は、ディープインパクトは失格。シロッコはディープを意識して動いてしんがり負け。不名誉を分かち合ったライバルとなってしまった。
牝馬ショアーが日本に輸入されて最初に交配されたのがディープインパクトであり、その産駒がエックスマーク。ディープインパクトは、いまや世界に響き渡る名種牡馬。シロッコもイギリスで種牡馬となり、すでにフランス、ドイツのグループレースの勝ち馬を送っている。シロッコの代表産駒と、ディープインパクト産駒のキズナが今秋の凱旋門賞で対戦したりするかもしれない。
伏兵エックスマークから、同じように本格化の気配が見える4歳
アクションスター、ジャパンCでも差がなかった
アンコイルド本線に、少し手広く流したい。