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人気2頭のどちらかが勝つだろうとは言いづらい今年のスプリングS

  • 2014年03月20日(木) 18時00分


◆馬云々以前に票が入りすぎる懸念があるアジアエクスプレス

 この原稿を書くにあたってnetkeibaの予想オッズを見たところ、アジアエクスプレスとベルキャニオンの人気が抜けていてその後にクラリティシチー、ロサギガンティアとなっていた。

 人気2頭が推される理由は分かるが、かといってこの2頭のどちらかが勝つだろうとは言いづらいのが今年のスプリングSだ。まずアジアエクスプレスだが、朝日杯勝ち馬の春緒戦というのは基本的に過剰人気になりやすい。昨年ロゴタイプが同じローテを連勝したのでリスクが過小に評価されそうだが、馬云々以前に票が入りすぎる懸念はある。

 この馬にとって良いのは、いまの力の要る馬場がこなせそうなこと。中山芝は道悪適性のパワーというよりはダートっぽいパワーが必要となっている手応えもあり、この馬がダート向きとも考えられる点はマイナスではない。

 距離も1800mが全くダメということはないと思うのだが、距離を意識して前半を大事に乗りすぎると、結局差し遅れるリスクはある。そもそも前走はムーアが天才的に捌いた面もあり、馬に毎回あれを期待できるかどうかは別な話だ。

 ベルキャニオンの方は馬場が問題だろう。昨秋に中山の芝がソフト化して以降、ディープインパクト産駒は明らかにパフォーマンスが落ちている。能力の高い馬が多いので3着あたりには来るのだが、勝率は以前と比べて明らかに落ちている。

 今週は木曜に雨が降ったことで金曜の競馬が湿った馬場で行われるし、それを引きずって日曜も好コンディションは望めない。ホープフルSで先着した馬には今回も先着できるだろうが、他の馬に前に入られる可能性はある。前走のような決め手を持った馬だからこそ、逆に3連単フォーメーションのどこに置くかは考えたい。

 クラリティシチーは安定味に優れているので、馬券のどこかには置いてみたいところ。ただこの馬も勝ち切るイメージが湧かない。どんな戦法でも結局詰めが甘くなる馬だが、いまの馬場を考えると前走のように積極的に進めた方が良いだろう。

 ロサギガンティアは社台ファームが得意とする、イタリア活躍馬(母ターフローズ)の仔。今回は騎手の影響もあって期待されそうだ。ただフジキセキ産駒も最近の中山では不振のうえ、本馬自身が時計のかかる函館で人気を裏切ったあと東京で3走好走という過程。中山替わりはおそらくマイナスなので、それを上回る地力の絶対値があるかどうかだ。

 モーリスはスピード色の無い血統が逆にいまの馬場で面白い面がある。距離延長で折り合いに苦心するだろうが、よどみのないペースになれば浮上しても不思議ではない。

 軸にはしづらいがヒモ穴として期待したいのがダイワリベラル。中山で好走して東京で凡走して中山戻り、という過程が良い。前で競馬ができるのもプラス。

 位置取りということでは一気の距離延長になるがクインズハリジャンも軽視できない。モズの全弟だけに距離がこなせないということはないはず。兄同様時計のかかる馬場は歓迎だろう。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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